アニメランナー - ANIMERUNNER

No3. アニメ産業の今と昔

初期のアニメ産業について

安田:ご存知のようにアニメ初期の作品は大きく二つに分かれています。ひとつはオリジナルアニメ、それともうひとつは原作アニメです。基本的には量産体制という前提では両方とも同じです。また、オリジナルアニメといってもマーチャンダイジングに立脚したオリジナルだったわけです。例えば、【ガンダム】みたいに『作中に出てくる玩具を売るためのビジネス』としてのオリジナリティというものを追求した。それをアニメという映像媒体によってメディア化していく。

菊池:パブリシティ手法の一つですよね。

安田:そうですね。それも売る商品はアニメに出てくるロボットですから。玩具というものを基本コンセプトにしてオリジナルアニメーションが創造されたわけです。だから、初期のオリジナルアニメーションっていうのは、基本的には玩具的なものに対しての宣伝方法であるということです。それと、もう一方は【鉄腕アトム】とか【巨人の星】とかのマンガ原作のアニメーション化。

話数の減少による事業構造の変化

安田:初期のアニメーションは4クール(1年間)放送してスポンサー企業のため、商品を根付かせる手段でした。クリスマス商戦とかお正月商戦をターゲットにアニメによって商品がPRされていく。まさにマーチャンダイジングの世界です。それがアニメビジネスの基本だったんですね。しかし、ある時期から製作委員会が創設されるようになった。その頃には玩具やお菓子が売れなくなっていたんです。アニメーション本体が商品価値を持つようになった。まぁ当然、映像をパッケージ化できるビデオ技術のお陰でもあるのですが…。

映像そのものが商品化された時期にはアニメの放送が4クールから2クールになっていきます。どうしてかと言うと、1年間(52話)も商品を買わせるための説得期間はいらないからです。26話くらいで十分に内容は解りますから。それに52話のパッケージを買ってもらうのはなかなか容易じゃない。ドラマ性とか作画のクオリティも追求すると2クールが限界だったわけです。

ある特定の期間、2クールのアニメが主流でしたが、さらに作品の細分化が始まりました。何が起きたのかと言うと、いろんな意味で社会的状況が厳しくなって、アニメ業界もその煽りを受けて作品自体が今度は1クールの時代に入っていきます。どんどん作品のスキームが小さくなっていくんですよ。作品の回転が速くなって、本来4クール(1年)だとか、パート1パート2と、シリーズが延々と何年も続くようなアニメのビジネス構造だったものが、2クールになり1クールになり…っていうようにどんどん短くなった。

安田 猛氏

プロフィール

株式会社KADOKAWAの常務取締役として実写、アニメ、ゲームなど映像系コンテンツを統括。また株式会社プロダクション・エースの代表取締役会長、株式会社ドコモ・アニメストア代表取締役社長のほか、株式会社角川大映スタジオ取締役、株式会社キャラアニ取締役、角川メディアハウス株式会社取締役、グロービジョン株式会社取締役などを兼任している

P.A.WORKS制作作品では『Another』(2012年)で企画、プロデューサー、『RDG レッドデータガール』(2013年)で企画、エグゼクティブ・プロデューサーを務める。