2005.03.25  
   
 
 
 
   
 

No.12 「ちょっと足りなくてありがとう」

堀川:絵力とは別にアニメーター‘は動き’の追求もありますよね。磯さんは井上さんの「GU-GUガンモ」を全部1コマ送りで再生したって聞いたんですけど。
井上:俺が描いたものを深読みしすぎてると思うんだ。彼は頭よすぎるんだよ。
堀川:さらに自分で‘リミテッドフル’で表現する新しい原画の描き方を発見したと云うことは、今、流通している原画の描き方では自分の描きたい‘動き’を表現できないんだって思いが悶々とあったと云うことですよね。それを持てるかどうかは
井上:生まれついてのものだよね。磯君の例えは特殊だからね。俺の見た中でも天才中の天才だから。
堀川:自分の描いたものに対しても不満はあると思うんですよ。俺って天才、と思っている奴でなければ問題意識はかならずあると思うんです。
井上:ある。必ずある。上手いと言われている人ほど、やっぱりあるよ。俺は自分の動きに満足したことなんかほとんど無いから。いつももっと満足したいと思って、それがずっと続けられているモチベーションの1つにはなっているね。満足することが無いんじゃ嫌だな、と思う人もいるかも知れないけど、だからこそ続けられるんだよ。そんなに楽しいことって無いよ。あまりに天才的な人だと早くに原画に満足してしまって、原画の仕事だけではモチベーションが保てなくなるってこともあるかもしれないけど、多くの人はそんな才能持ち合わせていないから。上手くなる、満足できる原画を猫くってことは本当に生涯のテーマになると思うんだよね。俺はいいですよ、飽きずに仕事を続けられている。本当にちょっと足りなくてありがとうって感じだね。
堀川:僕も目が肥えたのか、最近現場で『あれ?この人の原画は!』というものにお目にかかることがあまりなくなったんです。今は昔に比べて作画のパワーが落ちているとまで言われていますが
井上:みんな臆病になっているような気はするんだよ。演出に怒られないように無難にやっておこうと云う意識がひょっとしたらあるのかもしれない。もっと自由にいろいろ工夫した原画を描かせてあげると―そういうキッカケを会社で作って、意識して仕掛けるのもいいことなんじやないかな。今はね、ちょっと情報に対して頭でっかちになっているところがあるのかな。技術を情報として知っているだけで、習得しようと云う意欲が薄い。‘煙は巻き込む’ことは知っているけれど、是が非でも描いてみようと云うふうにはいかないのかな。それは出来る人が描く、住み分けがちょっと進みすぎたところがあるような気はするね。最近(原画の担当シーンの)振り方が得手不得手で決まっちゃうじゃない。メカシーンを女の子に振ったりしないでしょう?どんどん振ってみればいいと思うんだけどね。エフェクトだらけのシーンとか。
堀川:フリーは振ってもやってくれないんです。それは強制できないんですよ。シャーペンもメカだから嫌ですって(笑)。
井上:はははは、「私、メカやれません。電話機出てくるじやないですか、あれ、メカですよ」とかね(笑)。




                 No.13 「煙だけはどうにもならんな」に続く


 
       
Copyright (C) 2004 PA works Corporation. All Rights Reserved