2005.03.28  
   
 
 
 
   
 

No.13 「煙だけはどうにもならんな」

堀川:P.A.WORKS社員の原画マンには、得意、不得意と言う前に何でもとにかく描かせようと思うんですよ。いくら川面がモブ(群衆シーン)好きだって、モブシーンばかり描かせちゃいけない。
川面:‥・
井上:俺も煙が嫌いだったんだよ。
堀川:がっはっはっはっっ。はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!
井上:本当だって!! 「煙だけはどうにもならんな、上手く描けんな」、と云う時期が「アキラ」をやっているころまでそうだったんだけど、みんな上手く描いている。駄目だなーってむしろコンプレツクスだったんだよね。「老人Z」をやっている頃に、磯君の原画のコピーをチラッと見ることがあって、『あ、こんなようなフォルムで描けば上手くいくのかな』って云うヒントがその中にあったの。それまで煙のフォルムって、ポコ、ポコ、ポコで、影もポコ、ポコ、ポコって、全部こんな構成で描いてあって、それだと上手く立体感が表現できなくて、立体的な動きに持っていくことができない。それを自分では発明できずに困っていた。庵野さんの煙を見ても閃かなかったんだよね。上手く描いてあるけれど、どこか泥臭い感じだな、と思っていたけれど、磯君が洗練された影のフォルムを描いていたんだ。『あっそうか! 煙のアウトラインはこうだけど、影は別にこうつけてもいいんだ』と。煙の中に、こう凹んだ部分を影として描けば、こう云う立体がね、ウサギのウンチみたいな凹みとして考えれば、そう捉えれば上手く立体として表現できて、動きも描きやすいんだなって云うのがね、その原画を見たときに、『あっそれか!!』と思ったんだ。それからは、そう描こうとして、それでも暫くはなかなか扱いにくかったんだけど、「老人Z」や「走れメロス」で試したりして、コツを掴むようになってからはむしろ好きになってきたんだよ。もしあの時、苦手だからって避けて来たら、今もずっと煙が苦手のままだったかもしれないね。そう云うこともあるんだよ。自分の中に煙を上手く描けないって苦手意識があったから、磯君のを見たときに発見も早かったと思うんだ。ギリギリまで追い詰めて苦手意識まで植え付けてからでないと駄目なんだね。行き詰まったところでアンテナを張って、ヒントを掴むことにジリジリしていれば見つけられると思うんだ。

          No.14 「特別個性を発揮できる仕事じゃない?」に続く


 
       
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