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      2005.05.02  
   
 
 
 
   
 

No.24 「10年前の俺にこれを聞くな」−今の価値観−A


堀川:この価値観の個々の3つの要素は同じウェートじゃないと思うんですよ。報酬のウェートはたぶん80年代〜90年代より大きくなっている。
井上:俺等が原画になった20年くらい前よりは大きくなったかな。
堀川:そのころは「どんなアニメーターになりたいか」のウェートがすごく大きかった。描きたいモノのために報酬を無視した‘玉砕型’アニメーターがけっこう多かったんですね?
井上:人を驚かせるような、目を疑うような大変なカットをやった方が、やりがいがあるって言うかね、大変であればあるほどやりがいを感じる人も多かったね。もー大変であることが寧ろ喜び、いかに見応えのあるカットを描くかが最大の目標みたいな(笑)。そう云うのを苦しい中でやることが、結果的にはスピードに繋がっているんだと思うけどな。内容が楽になれば、その人たちは楽々描けるもんね。報酬は目指していなかったんだろうけど。
堀川:こう云ういろいろな価値観の話をP.A.WORKSのアニメーター一人一人としてみようかなぁと。
井上:何年もやって、ああ、自分はひょっとしたらこう云うアニメーターになりたかったのかなぁ、と見えてくるようなところもあるから・・・最初からはなかなか・・・。
堀川:これは、最初に決めたら最後まで貫き通せと云うようなものじゃなくて、考えるきっかけで、そのヒントをどうやって掴むかと云うことです。情報はいくらでもあるんだけど、‘これについてアンテナを張るんだ’って問題意識を持っていないと、たぶんいつまでたっても掴めずに漠然とした悩みに俯いてしまう。
井上:10年前の俺にこれを聞かれても、うーんて俯いたかもしれないよ。
堀川:そうなんですか!?
井上:いや、そんなことは無いか、はっきりしていたかな、‘何でも描けるアニメーターになりたい’か。
堀川:それを彼らが段々絞り込むきっかけになればいいんですよ。僕だって会社を設立した時にビジョンは何?って聞かれて、うーん、いい作品作りたいだけなんだけどなぁ・・・くらい曖昧だった。4年間悶々としたんです(笑)。
 井上さんが先回のインタビューの中で「同列で競争していた同世代の人達は何処へ行ってしまったのか」って話をされたじゃないですか。
井上:本当に失礼なこと言ってるよね(笑)。消えて無くなったみたいな(笑)。
堀川:その答えが、ああ、これなんだ、価値観のウェートなんだと思って。WEBアニメスタイルのanimator interviewを読んで、なかむらたかしさんにせよ、森本晃司さんにせよ、「どんなアニメーターになりたいか」は、20代でかなりのところまで極めて、アニメーションを職業にする価値観に占めるウェートは「何を表現したいか」の方がずっと大きくなったってことなんだと。「自分で表現したいモノが出てきたから」って。アニメート追求のモチベーションは小さくなったんですね。
井上:そうだね、ある程度そっちは達成してね。いや、本当はもっと俺がたかしさんだったら、そっち方面で課題は出てきたと思うけど、やっぱりたかしさんの中でね、「俺の作りたい作品をやるには、それほどのクソリアリルなアニメートは必要ない」ってどこかで踏ん切りをつけたんだろうね。今はもう全然そう云うことは求めないし、そう云うものを描くと「不要だ」って言うんだよね。


        No.25 「限界を感じなかった俺」−今の価値観−Bに続く

 


 
           
           
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