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      2005.05.13  
   
 
 
 
   
 

No.29「今、何がゆるいんですか?」−物量増加計画−@

堀川:会社としては、とにかく若い原画マンはテレビシリーズで経験をいっぱい積ませて、充分稼げるようにしてやるって大事なことじゃないですか? じゃあ、26で・・・
井上:今、30じゃないですかねぇ
堀川:6を目指してズレるものです!(笑)
井上:あぁハイハイ。(笑)
堀川:原画マンになって1、2年で目標を数の上では達成する。
井上:まぁ、言う分にはいいか。俺も当時1ヶ月で半パート描きなさいって言われ続けてたからね。描けなくて悶々としていたところに。
堀川:割り振るカットが10カットだから悶々としちゃうと思うんです。まず、ひたすら手を動かさなきゃいけない状況を作る。そんなに悩んだって、まだ技術的な経験も知識も無いうちは描けないですから。50カットくらい持っていたら、とりあえずそんなに悩んでいる時間は無いですから。
井上:渡す数が少ないんじゃないの? 最初の試運転が終わったら次は30、40、どんどん渡していかないと。2回目も10じゃやっぱり・・・
堀川:チェックする川面がシンドイって。レイアウト、ほとんど直しているから。
井上:ああ・・・ううむ・・・、そうなんだよね、今。昔は酷いのが流通していたからチェックするのがシンドイなんてことはなくて、新人に90カット渡すなんてのがあったけどね、今はそっか、それが厳しくなってるんだよね。
堀川:単価がいい作品だと、そんなにみっともない原画を提出もできないですしね。
井上:今は新人が生き辛い時代だね。新人が90持たせてもらえない・・・90カットやれば新人でも慌ててやるから(笑)かなりスピードもつくよ。そっか。そこを俺がやらないのに、数を持たせればいいじゃん、なんて言うとチェックする側からすれば「冗談じゃない!」って言われるかもしれないね。そのためにはね、「ゆるい作品」ですよ(笑)。こんなに作品があればあると思うんだよね。今、何がゆるいんですか(笑)?
堀川:ゆるい作品じゃなくて、スケジュールの全然無い作品。とにかく形にしてくれって云う作品なら(笑)。演出と作監の前をすごいスピードで通過していくような
井上:えーっ、そこに新人を投入するのはちょっと厳しそうな気もするな。
堀川:スケジュールがあって、ゆるい作品なんて無いですよ。
井上:本当? そんなことは無いと思うな(笑)。今でもあるんじゃないの? 「○ダ○ット」なんてゆるかったんだけどね(笑)。あれは下手でもそんなに作品のダメージにはならないじゃん(笑)。
堀川:(ガ〜ン!!)あの・・・それには・・・演出力がないと。作画のクオリティーで作品の出来が左右されるものじゃないくらいの演出力が・・・
井上:ああ。
堀川:ある作品で、このレイアウトを演出が通すのか!と云うのを見て、何が悪いのかを指摘してくれる人がいないと云うのは不幸な・・・
井上:いや、いいんじゃないか(笑)。それは新人用にいいと思うよ。そこで素振りをするって云うのはね。一見ぬるま湯に見えるけれど、とてもいい(笑)
堀川:いーーーーーーえ! ぬるま湯につかってから上を目指す方向には行かないんじゃないですか?
井上:そうかなぁ。
堀川:そこで楽をすると、ちょっと大変なモノを依頼しても手を出してくれないんですよね。
井上:いやいや、O.Kラインをそこに設定しておくと、いい人はかってに上に行くから。何か芽のある人はその中で、アニメーションをやる上での何かを掴んでね、徐々にハードルを上げていけばいいんじゃないかなぁ。ハードルが低いまま行ってしまうことは無いんじゃないかなぁ。最初のハードルは低い方がね、楽々跳べる人は跳べばいいし、と、思うんだけどな。最初はそんなに低くていいの!? って云うくらい低いところで。
堀川:ハハハハ・・・
井上:それで、昔はチェックがゆるかったからマズイ原画はそのまま画面になるんだ。失敗すれば大恥かくし、上手くいけば誇らしい。それを今の子は経験できない。自分の大失敗を画面で見られない。アターッっていうのを(笑)。
堀川:いかに自分の原画を作監や演出に手を入れられずに画面にするかに知恵を絞ったと云う話がありましたね。
井上:はいはい。確かに昔の演出は今よりも不要意にいじるところがあったから。もう、いらない原画はどんどん抜いちゃう、みたいなね。そうさせない創意工夫(笑)、みたいなのはやってたし、自分の描いたものをダイレクトに見るんだって云うのは、大事なモチベーションになっているから。演出の目はかいくぐって画面では目立ちたいなって云うのが。

*ゆるい作品:レベルが低いと云う意味ではありません。作画で表現しなければならないことがカッチリ決められてはおらず、作画表現にけっこう幅がある作品と云うことなんだそうです。一言で言えば遊べる作品ってことですね。


No.30「ちょっと度外視して」−物量増加計画−Aに続く

 


 
           
           
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