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      2005.05.18  
   
 
 
 
   
 

No.31「そんなものはカンで描け」−物量増加計画−B

井上:(持ってきてくれた資料を取り出して)これはね、「赤毛のアン」のレイアウトが載っているんだけど、桜井美知代さん、ベテランの女性だけど一流ですよ。宮崎(駿)さんから交替した時に初めて担当した話数。1人で1本レイアウトを描いている。この方が新鮮だよね。いまはすごくきっちりレイアウトを描くけれど、これくらい何か・・・
堀川:これくらいの描き込みで今でも充分じゃないですか?
井上:1人で1本1週間かからずに描くんだもん。1本分よ!! (資料を見ながら)このあたりはたぶん美術が手を加えていると思うんだけどね、風景なんかは。このあたり桜井さんの直筆だと思うけれど。これはたぶん、木は美監が手を入れているね。原版(レイアウトの原紙)を見たことがあるけど、原図(レイアウト)の上から線で美監が整理しているものもあるので。テレビシリーズのレイアウトってこれくらいで・・・ほら、全部フリーハンドみたいでしょ?
堀川:フリーハンドですけど味がありますよね。
井上:そうそうそう。あとは美術(監督)が(原図の線を)整理すればいいんだからね。
堀川:パースは合っているのかな?
井上:厳密に取ればこれ、きっとパース取ってないから。感覚でこれくらい描けるようになれば、どんどん量産できると思うよね。消失点が気になるうちは、どこに消失点を持ってくればいいだろうかって、(レイアウト用紙に)紙を足して貼っているようではね。そんなものはカンで描けるくらいの画力がないとテレビシリーズで数は描けないよ。
堀川:・・・(結局才能なんだ)
井上:これは全部カンで描いているよね。いちいち理屈を探らないで。でも、カンで描けない時は理屈に頼るしかないからね。どちらか。画力とセンスだけで描くか、知識と理屈で描くか。基本的なことはどんなパースの本にでも最初の1、2ページに書いてあるから。あとはいらないよね。正確に描くだけのパースの知識と云うのなら。(P.A.WORKSの原画マンたちが)これを見たら新鮮かもしれないね。川面君とか、見たければ。
堀川:みんなにただの収集家にはなるなって言っているんですよ。
井上:そう。キリがないからね。見たいかな?
堀川:そう思います。この描き込みで1週間で1本(レイアウトを)切るんだって話をしようかな(笑)。
井上:だから、そんなこと今でもできる人って・・・
堀川:えっ、井上さんはやろうと思えば
井上:いやいやいやいや、出来ないよ(笑)。
堀川:今のような緻密な描き方じゃなくても?
井上:いや、緻密さの問題じゃないね。そのスピードってね。いくらラフでいいからと言ってもそんなに描けないよね。
堀川:井上さんが出来ないって言っちゃったら・・・・それじゃあ困る。
井上:出来た人がいないんだもん。1週で1本って言ったら、1日で4、50カットだよ!そんなことできたのって、宮崎駿さんと芝山努さんと桜井美知代さんくらいだから。
 テレビシリーズで、いや、その目標の話なんだけど、月60カットって最近俺、テレビシリーズでやったことないからね。あんなことを言いながら(笑)
堀川:そもそもテレビシリーズをやってないじゃないですか。
井上:そうなんだよね。「妄想代理人」の数字はあんまりあてにならないんだよね。ちょっと特殊で。


No.32 「正直に言えないこと」−晩飯までの訓練−に続く

 


 
       
           
           
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