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      2005.05.20  
   
 
 
 
   
 

No.32 「正直に言えないこと」−晩飯までの訓練−

堀川:自己管理能力のうちで、自分の成長プランともう1つは時間の管理、タイムマネジメントの訓練の話です。井上さんは原画にかかる所要時間をかなり正確に読むじゃないですか。まだね、自分の担当する動画の終了時間が正確に読めないようなんですよ。ずっと指導はしているようなんですけど。
井上:リアルに読むと、とても申し上げられる数字ではないって言うときもあるけどね(笑)。これ、とてもじゃないけど正直に言えないって。
堀川:富山だと宅配便で送る時間があるので、集配数時間前の途中集計では正確に終了時間が読めないと大変なんです。先日も読みがズレにズレて、結局集配に間に合わないので高速を飛ばしに飛ばしてギリギリ中央の集配センターに持ち込んだんですが、動画を送るのにしょっちゅう命を懸けたくないよと思った(笑)。
井上:それは問題だね。何年かやれば動画だって原画だってある程度(所要時間は)読めるよね。正直に言えないことはあるけど(笑)。あぁ、でも俺等の世代でも多かったかな。読める人の方が少ないっちゃぁ少ない。
堀川:それは本当に訓練だと思うんですよ。
井上:そうだね、察しはつくようになるはずなんだけどね。「MEMORIES」の時に作監の俺の手元にチェックする原画がなくなってね、何人かの上がらない原画マンに俺が「いつ上がるの?」って訊いたら、「判らないです」って言うんだよね。「判らないの? じゃあ待ってられないから俺が描くから」って(笑)、描いたことがあったけど・・・だって、その人は腕は立つ人なんだよ。それでも読めなかったんだよ。
堀川:はっはっは。制作に対して答えたくないのは、言質を取られたくないんでしょうけどね。それで、作画のタイムマネジメントの訓練のために、作画部に個人日報表を作ったんです。まず、週の終わりに来週の週間目標を立てる。原画ならカット数、動画なら枚数。これはスケジュールから逆算するんです。ひと月500枚の動画枚数を越えようと思えば、週に130枚くらいを目標にしなくちゃいけない。週間目標を立てたら、それを達成するために、明日何カット、あるいは何枚やらなきゃいけないかは割り算ですから。怖くて割り算したがらない子はいますけどね(笑)。それで、その日の作業予定を書く。カット○○と△△のレイアウト、とか、カット□□の動画何枚とか、具体的に書いて目標をたてる。何時までにって書いている子もいます。それで、帰宅前にその日の達成結果を書き込んで先輩に提出する、と云うことを始めてみました。これは本当に継続した訓練です。やっていれば必ず自分のスピードが読めるようになるし、ペース配分ができるようになると思います。
井上:うん、ある程度訓練だよね。自分で目標を持たないとね。テレビシリーズの原画なら1日数カットやるじゃない? 晩飯までにこのカットを終わらせなきゃ、くらいの目標は今でもその日仕事を始めるときに立てるからね。そうしなきゃ、晩飯終わった後には次のカットが控えているから晩飯をズラしてでもこのカットはそれまでに終わらせる、くらいの目標を立てて日々生活するのは大事だよね。あんまり追い込むのはあれだけど、そうでもしなきゃ、50カットの原画を月末までには終わらせなきゃいけないのに、何の目標も立てないでダラダラやっていてケツで辻褄が合うはずがないからね。
堀川:アニメーターの今週末は‘遠い未来’、今月いっぱいは‘永遠の時間’、みたいですからね(笑)。
井上:1日1日の目標がシンドければ、週単位でもいいと思うけど、俺はイラチだから。イラチってわかる? せっかちだから(笑)。その、‘晩飯までにここまで終わらせる’って意識は持っている。本人の性分にもよるよ。週単位では果てしなくズレる人もいるだろうし(笑)、それが読めないなら日々目標を立てればいいしね。
堀川:自己管理能力、自分の成長プラン、物量とタイムマネジメントに対する課題と訓練について、今はこんなふうに取り組もうと思っています。


No.33 「更に前ですか」−技術習得の姿勢−@に続く

 


 
       
           
           
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