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      2005.05.23  
   
 
 
 
   
 

No.33 「更に前ですか」−技術習得の姿勢−@

堀川:今度は個々の技術的課題の取り組みのことで教えてください。先回のインタビューで井上さんが‘方向性の違う2種類の憧れのアニメーターを探せ’と言われましたけど、新人アニメーターには種類が判らないんだからしょうがないと思ったんです。その、‘自分と同じ思考で描く人で、技術が自分より優れている人’って言われても、自分が描く思考なんてまだ自覚しているわけじゃない。
井上:いやいや、でも、あ、そうなのかな・・・いや、言葉に上手くできないだけで何かあると思うんだよね。
堀川:それを課題にしようとしたんですけど、その前の段階が必要だと思ったんですよ。
井上:えーっ、更に前ですか(笑)。俺はそれが最初の一歩のような気がするけど。
堀川:その前にね、画面を見て気になる作画、アニメーターじゃないですよ、作画がいいなと思うところがわかるようにしよう。その次に、その気になるところが他の作画とどこが違うかがわかるようにしようかと。
井上:うん。
堀川:画面を見ていて引っかかる作画の箇所がわかって、他との違いが何かを考えて、更に次の段階で、その作画を担当したアニメーターが、アニメートで何に取り組んでいるのかがわかるようになれば、井上さんの言われる‘2種類の’方向性の違う憧れのアニメーターが見つけられると思うんですよ。
井上:そんなに難しい問題でもないよね。
堀川:日本のアニメーションでアニメーターが求めてきた作画スタイルがどう変わってきたんだろうと思って、今回井上さんに聞いてみる前にanimator interviewを読んでみたんです。その話はまた後で伺うとして、むちゃくちゃ大雑把にまとめると、東映長編時代―1960年代くらいまでに形になったアニメートの技術は、大別しちゃうと’80年代に、なかむらたかしさんと金田伊功さんの流れになるんですよね? キーワードは‘リアル’追求と‘快感’追求ってことで。
井上:うーん、80年代はね(笑)。
堀川:みんなそのスタイルを貪欲に吸収しようとして、まず模倣してそのファクターを自分の中で上手く消化しながら、どんどん‘リアル’な表現、‘キモチイイ’作画の更に進化した表現を取り込んでいった。それで、自分なりのアレンジを加えていくうちに個性が出てきたんじゃないですか?その作画に対する執着心ですよね。新しいアニメートの表現を求めてアンテナを伸ばしているから、「Gライタン」で懐中電灯が転がっただけで目から鱗が落ちるんですよね。例えば‘存在感’か‘視覚的快感’か、自分が引っかかった作画のアニメーターがどう云うファクターを取り入れることに取り組んでいるかを考えてみることから始めよう。会社でそう云う課題を出そうと思います。沖浦(啓之)さんの作画シーンを見たら、人物の重心移動に対するこだわりが他と全然違うとかね。
井上:「イノセンス」を見たらそうだよねぇ。
堀川:小池健さんのダイナミックなシーンを見たら、元をずっとたどれば金田伊功さんにたどり着くなとか。
井上:そうだね、それ以降の金田さんにリアルなテイストを取り込んでいる、基本は金田さんだね。
堀川:あまりアニメーターの名前もしらなかった新人原画マンでも、自分がいいな、このテイストを取り入れてみたいな、と思ったアニメーターが何を表現することに取り組んでいるかがわかるようになれば、取り組み方と云うか、模倣ではなく、自分なりの消化もできると思うんですよね。その段階で、やっと技術習得のために獲得したい‘知識’がどんなものかがはっきり自覚できるのかもしれませんね。自分が何を知りたいかが明確になってくる。「どうやったら巧くなるか教えてください」って云うのは、足りないのは知識じゃない。姿勢の問題。「まず自分の課題を見つけられるように考える姿勢です」と。
井上:うん。


No.34 「その通りだと思うよ」−技術習得の姿勢−Aに続く

 


 
       
           
           
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