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      2005.06.06  
   
 
 
 
   
 

No.39 「エポックな出来事」

堀川:東映動画から脈々と続く日本のアニメートの流れがあって、日アニ(日本アニメーション)、それと・・・
井上:あと、テレコム(アニメーションフィルム)とかね
堀川:Aプロ系は東映に近いんですよね?
井上:直系に近いね。芝山(努)さん達・・・東映系にはない、なんだろう、もうちょっとイラスト的な要素、1枚絵としての魅力があるような。
堀川:それは杉野(昭夫)さんとか、虫プロ系じゃないんですか? 1枚絵で見せる・・・
井上:うーん、虫プロ系は絵の魅力とハッタリの構図で魅せる、Aプロはそこにもう少ししっかりした空間を作って、しっかり動かしつつ、技術的には大塚(康生)さん達には無かった洒落たパンチがある、芝山さんとか、イラスト描いても巧い青木悠三さんとかね、でもリアルかって云うとリアルではないよね。リアルな空間は描いているけれど。80年代になってから題材が増えていって、それこそ漫画絵と云うか、「アキラ」を描くには漫画絵の技術だけでは追いつかなくなって、アキラは描けないのに一生懸命リアルに描こうとして・・・
堀川:題材が増えたのはOVAの影響ですよね?
井上:そうだよね。ハードなSFやるのに漫画絵じゃ始まらないし、やっぱりもっとリアルに・・・リアルな絵で描き出したのはいいけれど、リアルな芝居になっていなくて絵と内容がチグハグだった。それを埋めていったのが磯(光雄)君達。こんなリアルな絵でやるんだったらリアルな芝居をってね。本当に長いこと、俺等が始めたころは、実際に人間の仕草を観察して描くって云うことは思いもよらなかったけどね。まぁ、草創期のように真似するパターンも無い時代だと自分で観察したりもしたんだろうけど、俺等の頃までには一通りのパターンが出来上がっていたから、新たに実際のシチュエーションを観察しないでもパターン化されたものでいいんだと思っていたのね。人物を日々見てはいるけれど、描くための観察はしていなかった。原点に戻ったと云うかね、人物を表現しようと云うのに人物の仕草を勉強したことがなかったことにやっと気がついた。それがやっぱり90年代の後半なんじゃないかなぁ。
だから今の子たちがね、60年代、70年代はほぼいっしょだとして、80年代に起こったこと、90年代に新たに起こったこと、それが今、同時に見れちゃうから、何かを発見していくのは難しいかもね。昔はそう云うものが判りやすかったんだよね。エポックな出来事が見つけやすかったんだ。手をリアルに描く人がいないところに突然手をリアルに描く人が出てきたらすごくわかる。一発で判ったけど、今は今までの細分化されたありとあらゆるタイプの作画が混在しているから、その中で異彩を放つ人を探すのがまず難しいよね。俺達のように長年やっている玄人が見れば、「ああ云うことを始めたな」とか、「昔やったことが復活したんだな」と云うことがわかるけど、今の子たちが同じ動きを見て同じような発見ができるかと云うと、それは難しいかもしれないね。


No.40 「13+10×5=?辞めなければ」に続く

 


 
       
           
           
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