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      2005.06.13  
   
 
 
 
   
 

No.42 「会社に行けば同じ志の人が」(最終回)

堀川:会社の5年間の事業計画書を県に申請したんです。積算根拠を決めて細かい数値をシミュレーションするんです。数値のシミュレーションは制作で慣れてますからあれなんすが、出てきた結果に焦った(笑)。のんびり構えてたらちっとも成長しない、アニメーターといっしょだって。‘いやいや、こんなんでいいわけがない’って成長プランから逆算していったらもっと焦った(笑)。制作の作品スケジュールのシミュレーションとやってることは変わらない。逆算で今やらなきゃいけない山積みの課題が
井上:そりゃあビジョンはあった方がいい。けど、その・・・それを持つと堀川さんが大変だと思うんだよね。なかなか思うようにいかないと思うよ(笑)
堀川:うーん、でも、地方のこの環境なら養成に真正面から取り組めるかな、と思ったんです。うちのような小さな会社でも、そこに先行投資して寮を建ててでも挑戦してみようかと。もし東京で作画の現場を作ろうと思ったら、僕は同じ方法論は取らないですよ。アニメーターの流動性が高すぎるから。クオリティーの高い作品を作ろうと思ったら、今は優秀なアニメーターの確保が本当に深刻な問題なんです。それは「攻殻(機動隊)」で痛感しました。充分な人数の優秀なアニメーターと契約するには資金的余力がないと・・・単発の尺が短いものならともかく、テレビシリーズのように安定したクオリティーで量産を目指すなら、作品1本単位の制作費で作っているうちは無理ですね。富山でまずは50人規模のアニメーターを養成して、ワクワクする作品作りを追求する現場環境を提供しようと。彼らが自分たちの作品をここから発信するんだって云うのが、それが彼らの大きなモチベーションになって、チーム制も含めてどんどん彼らが取り組んでいけばいい。そんな現場環境がいつかは出来ればいいな、と思っていたんですが、夏休みの宿題には期限があった(笑)。計画目標を見直したら、もうお盆過ぎてた。アニメーターと同じように、制作会社の成長にもある程度のパターンがあるんです。P.A.WORKSの会社の状況設定は6年だ、7年目には元請になって自分たちで作品を発信したいな、と漠然と思っていたらもう5年目になっちゃった。
井上:5年目?
堀川:はい。5年目でアニメーター13人。少ないです。あと2年で先回井上さんが言われたアニメーター20〜30人の規模が必要だと
井上:それはそうだと思うんだよね。
堀川:そこまではちょっと会社に負荷はかかるけど、アニメーターの養成をプライオリティーの上位に上げてね。
井上:うーん、数がいるのは大事だよねぇ、やっぱり。ただえさえ寂しい(田舎の)環境だから(笑)。会社にいけば同じ志の人がいっぱいいて、こう、競い合ってね、抜きん出る奴が出てくれば周りは気になるしね、何が違うんだろうって考える。
堀川:今は「攻殻(機動隊)」や「鋼(の錬金術師)」と云ったヒット作をやったおかげで地元でも何をやっている会社かわかってもらえたし、行政も興味をもってバックアップしてくれるし、チャンスだと。
井上:うん。
堀川:新人原画マンに自分の原画のコピーを取らせているんですよ。自分の課題取り組みと成長の記録のために。今度また機会があったら見て下さいね。
井上:うん、見るよ。興味はあるなぁ。おっ、下手っぴーって(笑)
堀川:・・・ははっ・・・ははっ・・・。
今日はお忙しいところ長時間どうもありがとうございました。


 新人アニメーターは、まだ個々の技術的な問題意識を明確に持っているわけではありません。これから『自分の課題は何だろう』と、真っ白い紙を前に何年も悶え苦しんで、やっと個人の技術課題が明確になってくる。井上俊之さんほどの高い技術を持ったアニメーターの経験に裏打ちされた助言は、その段階まで辿り着いて初めて幾何学問題を解く補助線のごとく効果を発揮するのでしょうね。現段階での彼等にとっては、井上さんの助言も‘色紙にサイン’くらいの認識なのかもしれません。まずは、助言が助言たりえるところまで自分でもがき苦しんで成長するところからです。
 今回のインタビューで考えたことを元に、今年の新年度説明会でP.A.WORKSのアニメーター養成方針と養成のカリキュラム化への取り組みについて説明をしました。とにかく始めること。刺激のあるOn the Job Trainingの継続、取り組み課題と成果の蓄積。個人差のある職業なので、一人一人の価値観と年間目標から月間、週間、その日の目標、日報まで、職人としてしっかり自己管理ができるよう、技術向上に興味を持って自己改革していけるよう、指導者も含めて彼等の自己啓発意欲を刺激するような環境にするための取り組みを始めました。経営理念、会社のビジョン、ここから世界に向けて作品を発信する。まずは6年間、想像できないほど大変だと思うけど、信じて続けて欲しいと、僕も説明会で大きなことを言ってしまったわけです。神山さんのインタビューをもとに、自分も背負うよう公言てみたんですね。僕らはプロパーの作画チームをいっぱい作って、作品の出来を競い合うんだって。それがポテンシャルの高い現場をつくる第一歩なんだって。そのうち井上さんがビックリするような作画チームになりますよ、はっはっは

 


 
           
           
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