Q&A
   
 


No.8 「人力が資源だとするならば」

―クリエーターが疲弊しつつある業界について

おっかないオッサンが見当たらなくなった
神山:楽な方法を提示することでスタッフを繋ぎ止めるというよりは、意識を改革する為にある程度強制していかなければいけない部分もあると思うね。こういうことを言うと嫌われるかもしれないけど、その嫌われ役にならざるを得ない部分もやっぱりあるのかもしれない、そう感じるんですよ。でもそれを逃げてきた。おっかないオッサンが業界に見当たらなくなったっていうのは、それを放棄してたんじゃないかって気がするのね。まーね、おっかないオッサンがいた方がいいとか、そう云うことだけじゃないんだけどね、僕らも上が空洞でさ、宮崎(駿)さんや富野(由悠季)さんにさえ近づかなければ、好き勝手にやれた(笑)、その良さも充分あったんだけどさ、んー・・・人力が資源だとするならば、それも枯渇するんだよって云うことだね。井上(俊之)さんを、なんとか説得して(I.Gでアニメーターを対象に)井上塾ってのを始めたのも、そういう人力みたいなものを、少しでも増やしていきたいと云う思いがあったから。
堀川:最近は作品数に対してアニメーター不足、圧倒的なアニメーターの売り手市場でしょ。しかも社員ではなくフリーのアニメーターにうるさいことを強要しても、今は人がついてこないっていうのが現状じゃないかな

厳しい人に教わったことは掛値無しに使えるんですよ
神山:うーん、たぶんね。そうしたら作品はできなくなりますね。でも、口あたりの良いことばかりを言うのが正義ではないということが監督をやってみて判ったよ。若いころに強制的に教わったことって掛値無しに使えるんですよ。理屈抜きで。押井(守)さんがよく鳥海(永行)さんの話を持ち出すでしょ、裏打ちが必要なときにそういう厳しい人に教わったことは掛値無しに使えるんですよ。僕は演出に関しては本当に独学でここまで来ちゃったので正直苦労しました。自分の経験論では物を話せるけど、相手を説得する材料としてそれが有効でない場合が当然あるから。ただ、やっぱりうるさいオッサンに強要されたことっていうのは、あとでタダで使えるんだよと、自分ではそういうメリットはあったのね。だから俺、そういう人たちに後ですごく感謝したもん。
堀川:I.Gの1スタ、2スタの原画のメンバーは、ずっと頭からローテーションで参加してるよね。若手の力はついてきたのかな?
神山:全然変わりましたよね。それは僕にとって一番嬉しいことではあるよね。明らかに伸びたなーって人がいるもん。やっぱり最初は(タイトルに)抵抗があったと思うんですよ。だけど、初めてI.Gらしい作品にメインで参加することになって、これだけやり終えてみてね、自分でも手応えがあるんじゃないかと思うよ。ただ欲を言えば、もっと彼らに手ごたえを感じさせられたんじゃなかろうか、とも思うんだよ。具体的な手応えをね。それが、何故感じさせられなかったのかはわかっているんだけど・・・。まあ、スタジオごとの事情によるコミュニケーション不足とか、いろいろあってさ。それでも、地上波が放映されたらもう少しはあるのかもね。

No.9「この柱は僕が造りました!」に続く



 

 
       
       
           
           
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