2004.11.15  
   
 
 
  Q&A
   
 

No.9「この柱は僕が造りました!」

―攻殻機動隊はシリーズ構成とシナリオにスポットを当てた評価をよく耳にします。アニメーションではちょっと珍しいことです。実は私もP.A.WORKSで制作を引き受ける前に、まずシリーズ構成とシナリオをもらってペラペラと読み始めたのですが、いやいや、これはいかん、と、正座して読み直しました。本当ですよ。のっけからライター陣の意気込みにガツンとやられてしまったわけです。これは短時間で自分の小さな引き出しを掻き回して、小手先で書かれたものではないな。引き締めて読まなきゃ、とね。長年携わっていても、そういった興奮に巡り合う機会は少ないので、やらせてくださいと言いました。それは余談として、今回のライター陣は、外部のシナリオに対する反応にどんな手応えを感じているのかを神山監督に聞いてみました。答えは意外なものでした。

みんな寝て起きたらキムタクになっていたいんだ
神山:うん、シナリオに関しては、ある程度評価が出てきて、実力以上の力が出た者もいるんじゃない。だけど正直こちらで直していることの方が圧倒的に多いけどね。ライターに関しては強制的にスターにしようとしたわけで・・・。でも残念ながら、線が細いというか、何というか・・・。あと、今おっかないのはネットですぐ反応がくるから。良い面もあるよ、ダイレクトに褒め言葉がくる。でも惨い情報もくるわけじゃない。そしたら、どうしたってへこまないほうがおかしいよ、確かに。だけど、とにかく俺は全然へこまなかったの。相当ひどいことも書かれたけどさ、これは強がりじゃなく、何て言ったらいいんだろうな・・・自負があったから。最後まで見てもらえれば、たぶんこの人達の意見も変わっちゃうはずだとか、見る人が見てくれれば届く、とかね。あとは、地球上の人が全員ノーと言っても俺はやりきった(笑)!とかね。
だけど、へこんじゃった人もいるわけです。自負心はないんだけど、自尊心が強い。プライドが高いんだよ。
堀川:みんな巧くなる前に偉くなっちゃうんだね
神山:そういうことです。自分のままでキムタクになりたいって(笑)。それは無理だよってよく言うんだけど、みんな寝て起きたらキムタクになっていたいんだろうけど、それは無理。俺は元ジャイアンツの川相でいいじゃん!と思うわけ。始めはバイプレイヤーでいい。川相は20年間バント一筋で世界一になった、そういう形もあるんだよ。ただ、その喜びを教えることは不可能だよね、実をいうと。これ、どんどん希望の無い方向へ話が行くけど(大笑)。

僕は新たな攻殻ファンを150,000人獲得したんだ
神山:監督やって思ったのは、そういう人達に対して強要していくことを、責任と自信をもってやっていくしかないってことです。これはシンドイよ。友達はいなくなる、飯食いに行く奴はいなくなる、遠くで喜ばれても近くで恨まれるっていうね。シンドイなって云うのは正直ありますけど、でもある程度結果は出せたと思うんですよ。俺は新たな攻殻ファンを150,000人獲得したんだっていう自負はあるよ。それが延いては、最初は強要されることに頭にきたかもしれない人達も、将来I.Gビルが建った時に、この柱は僕が造りました!と言える。「定礎」ってところに(笑)名前が載るんだよ!って言い続けたわけです。ここに載るんだよ!と。それは獲得したと思うもん。それで喜んでくれる人もできたからいいかなって。シンドイ分は、そのかわり監督をやれたっていうメリットと等価値みたいなものと思うしかないよね。

No.10「闘う価値はある」に続く




 

 
       
       
           
           
Copyright (C) 2004 PA works Corporation. All Rights Reserved