2004.11.22  
   
 
 
  Q&A
   
 

No.12「到達目標は持つべきだと思うんだよね」

ビデオデッキがあればいっていう世代
神山:ビデオデッキがあればいいっていう世代だったと思うんですよ。俺、最初に住んだアパートの家賃は1万なんぼでした。とりあえずクーラーは諦めよう。でも、仕事と趣味、両方にいかせるビデオデッキがあればあとはいい。欲を言えば2台あればいいといった世代だった。金も無い、名誉も無い、でも好きなことをやっている以上何かを手に入れたい。じゃあ、作品を好きにやってやろう。それが最大のモチベーションでここまで来た世代だと思うんだよ。けれど、今の子は、携帯、DVD、パソコンは必需品だし、住居はワンルーム冷暖房完備があたりまえの世代。生活がどんどん向上してるから、新人だからこれだけでいいんだ、というわけにもいかなくなってきたと思うんです。俺たちも歳をとってくるし、家庭を持っている人間も増えてきた。ビデオデッキだけの暮らしでいいって人はもういないと思うんですよ。作品で何かしでかせればいいというモチベーションだけでは無理だよね。やっぱり業界全体が富んでいく必要はあると思う。当然(作品は)ヒットしなきゃいけないし、ヒットの無い業界にさ、人は来ないし、その業界自体が生き残れる訳が無いんですよ。そうすると、そこで指揮官的な立場に立った人間は、やるからにはやっぱり何らかの到達目標は持つべきだと思うんだよね。そのくらいの気概は欲しいよ。少なくとも俺はそう思っている。

観たいものを作るんだって云うのが最終目標では困るんだ
神山:「僕が観たい作品を作りたい」、それがモチベーションだった時代はもう終わったよ。それが到達目標だっていうのはもうやめよう、と云うのは僕がここのところずっと抱いていることですね。それは担当する演出にも、たぶん強要していく。「この話数は俺にくれ。好きにやらせてくれ」って云うだけでは認めない。各話数でその回の本質部分を見つけていくことは許そう。けれど、これは全体の中の一つでもあるって云うことね。個人主義だけで物事が前進する時代じゃないよ、と思っている。だから、それからさらに一歩踏み出そう。到達目標がそこで何かは、人それぞれだと思うんですよ。何万本売りたいとか、賞取りたいとかね―そういうことを急に言っちゃうと高いハードルだと思うけど、それを言うのも良しだと思うんですよ。もちろん原画を描いてくれる人とか、一スタッフにはそれは無理だと思うの。でも、そういう人達にも何らかの恩恵が行き届く為には、指揮官たる人間が、俺の見たいものを作るんだっていうのが最終目標では困るんだって云うことなんですね。これだけは強く思っている。できれば同世代の人達なのか、後から追いかけてくる人達なのか、わかんないけど、そういう人達には、そういう意識があって欲しいな、というか、そう云うものなのかなー、と、思ってもらえるような仕事はしたいよね、俺は。

No.13「虚無僧なのかよおまえは!」に続く

 
       
       
           
           
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