2005.01.10  
   
 
 
  Q&A
   
 

No.32「ありもしない自我を頑なに守る」

慌てることは無いんだ。個性は死ぬことは無い
神山:これはね、いろんなインタビューで言っているんだけど、僕はずっと押井さんの影武者でいいって思うくらい押井さんに心酔してたし、押井さんのロジックなり構造みたいなものを自分なりに研究してたから、押井さんと全く同じ物が作れるんじゃないかって云う自負はあったの。だから「ミニパト」を監督した時に、これは脚本までしか押井さんはやってないけど、あたかも押井さんが作った物のように仕上られるし、押井ファンが喜ぶ物を作れると云う自負があったんですよ。だけど、1本目2本目と作って、3本目のコンテに取り掛かった時に、「ううむ・・・押井さんが作った物のように作れると思ったけど少しちがうな」と。俺から見た押井さんって視点で作ってるなって思ったのね。だから見る人が見れば全然違うんですよ。押井さんは、「俺のミニパト」って言うけど、(後藤喜一の)声優の大林(隆介)さんがね、「この後藤はねー、後藤じゃないよね」と言ったんだそうですよ。俺から押井守を見た後藤隊長像って云うのは、やっぱり演じた役者からは差を感じたと云うことですよね。実は同じ物を作れると思ってたけど、そこには俺の視点が自然に出ちゃってたんですよ。だから、慌てることはないんだ。個性は死ぬことは無い、と気づくことができた・・・。

詰め込むものはちゃんと存在している
神山:またもや話しは最初に戻るけど、僕は企画を途中で攻殻機動隊にシフトしたけど、「分かりました。100%全身全霊を懸けて攻殻機動隊を作ります」と言ったとしても、最終的にはどこかでは「個」と云うものは存在しているんだな、と云う確信も持てたんです。監督をやってみてね。だから皆も慌てるなと。企画がオリジナルから攻殻機動隊に変わったからといって、それは負けではないんだよって云うね。でも、それじゃあ俺の物にはならないって思うんだったら、その人には本当はやりたい物は無いんだよ。
 だから最初は、なおさら人から充てがわれた物をやった方がいいよ。で、その結果手に入るよ。その方がやらないで、ありもしない自我みたいなものを頑なに守っているよりも、そんな開けて見たら空っぽの箱をつくるよりも、入れ物は替わっても、その中に詰め込むものの方をしっかり作ればそれでいい。そい云うことは確信できたよね。

No.33「everybody goes everybody fights」
―こんなに頑張ってんのに― に続く

 
       
       
           
           
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