2005.02.07  
   
 
 
  Q&A
   
 

No.44「P.A.WORKSはどっちだA」

0を1にするのか1を5にするのか
神山:もし力を貸せるとするならば、俺は今後は0を1にする方へ向かうつもりなので、その部分かなとも思うんですよ。本当は単純に監督業って云うのは、1を2に、3に、10にしていく商売ではあるんだけど、僕は企画とか脚本と云う作業からこの職業に就いた人間なので、0を1にする方に時間を割いてきたタイプだと思うの。未だに一人で0を1に出来たことは一度も無いけれど、そこに力を入れて行くことにこれまでの半生を結構懸けてきた。格好つけたこと言うならね。その部分でもし力を貸せるのであれば嬉しいな、とも思うけれど・・・。
 石川さんや押井さんが0を1にして、その1を人に渡すことでそれを2に、3にしていくってことが出来ている立場の人だと思うんですよ。企画を0から立ち上げるって本当に生半可なものじゃないんですよ。石川さんもI.Gの初期から0を1にしているわけでは無いと思うし。1があるところに行って、その1を貰えますか?うちはこの1を4に出来る会社なんです。と云うことで最初の10年実績を積んできたと思うんですよね。次の5年はようやく「1を4とか5にするよね、あそこは」と云うことで、「どうよ、この0を1にしてみる?」って仕事がようやくできたのが次の5年だと思う。更にここからが、全くの無を有にしていく作業に本腰を入れていく時期に来たんじゃないかって感じるのね。それは石川さんをしてProductionI.Gが15年かけて初めてそこに辿り着いたので、その同じ地平を目指すのであれば、やっぱり15年以上かかると思うんですよね。
 今自分の持っているマンパワーと云うか、内蔵されている資源をフル活用して、まず1を2に出来る状態だとするならば、来年は1を3に、さらに翌年は1を4にしていく。1を5にする力があって初めて0を1に出来ると言うのであれば、5年の長期的なスパンで引き上げていくって云う方が効率はいいと思うんですよ。これが1つの選択肢。もう1つは、それもすっ飛ばして今とにかく0を1にするんだと云う道もあると思うんです。その時は何を捨てて何を取るかと云う判断がずいぶん違うと思う。それは指揮官が決めることです。もしそうするのであれば、誰が反対しようが、泣こうが喚こうが、そう云う事なんだ、と周りを説得せざるを得ないんです。指揮官が具体的なビジョンを持たなきゃいけないと思うんですけどね・・・。どうでしよう?

堀川:長い時間(4時間半も)どうもありがとうございました。神山さんの考えを大切に記録し、今後の糧とさせていただきます。
                                      
champion:ある人のために代わって戦ったり、ある主義主張のために代わって議論する人。
チャンピョンと云う言葉にこんな意味があったことを、大江健三郎の著書「新年の挨拶」に収められている「チャンピョンの定義」で知りました。神山さんはアニメーション業界で僕等の世代のチャンピョンになることを、幸か不幸か背負ってしまったんですね。骨のある作品を通して観る者、作る者をインスパイアーし続けることを期待しています。もちろん傍観するつもりはありません。

インタビュー2003年11月12日

 
       
       
           
           
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