作画のとび箱  
 
 

 

 

No.17 探究する姿勢―そのA

* 好きなアニメーターは段々分ってきたんですよ

吉原:ビデオで録って、コマ送りを何度もして、モニター一時停止にして模写するでもいいし、そっくりになるまで描くとか、あたりまえのようにやるしかないよね。俺はミンキーモモが好きだったけど、その中でも渡辺ひろしさんが作画監督の回が好きで、モモを自分で描くときは渡辺さんのモモにならないと嫌だったしね、描けた気がしなかった。具体的に言うと渡辺ひろしさんのモモって設定よりもちょっと目が大きくて、目元が斜めに落ちてるんだけど、そう云うところに魅かれるわけ。あの微妙なバランスがいちばん可愛く見えるねってさ。髪の毛のハネ方とかさ。だから描きたいと思うわけ。そうやって描いているうちに、そっくりに真似しているうちに自分のものになっていくみたいなところってあると思うんだよ。
 車のメーカーと違って没個性になっていけばいくほど、実は持っている個性が浮き出てくるものだと思うんだよね、実は。個性を出すために、単独で探求することよりも、右も左もわからないんだけど、とにかくそっくりに描いてみよってところから何かが生まれていくとかさ、そう云うものだと思うんだよね。原画の動きに関してもそう。
 ガキの頃好きなマンガをよく真似したじゃん。あれをナチュラルに今でもやればいいんだろうけどさ。言われてやることじゃないしね、強制されてやることで安心していちゃいけない。やっているっていう行為だけで安心していちゃいけない。
 意外に私生活のことってみんな自分在りきなんだけど、どうして仕事で探求することで自分在りきになれないのかなと思うんだ。一番協調性がなければいけないところじゃ自分在りきなのに、一番自分在りきでしか探求できないところが和気藹藹だったりする。それが苦痛なところだからなのかな? みんなで苦しさを乗り越えようみたいなさ。クロッキーも終わった後に毎回半死にするようなヤツとか、鼻血出してるヤツがいるくらいストイックにやっててくれりゃあね(笑)。探求していくそのあり方。ただの習慣化になっちゃ意味が無いんだよ。楽しいのもいいんだけど、その中にももっと厳しさがないと。

* エフェクトの描き方がわからない

吉原:多分君も粒子単位に弱いんだと思う。線にならない。でもこれはね、探求するしかない。描くしかないんだ。1回誰かが紙に描いたもの、アニメートしたものを見て描くのが最初はいいと思うけど。実際の炎を見てそれを線画で表現できるようになるのはもっと先だろうからね。ただ、こればっかりはどんなに人のを見ても駄目だったりするんだよな。俺も苦手だった。
 何をカッコイイとしているかをまず見つけるしかないんだよ。自分じゃ判らなかったら、世間ではどれがカッコイイエフェクト表現と言われているかを調べてみる。川面に聞いてみるのもひとつ。もしくは会社に井上さんのエフェクト原画はあるよね? 井上さんのエフェクトだったら間違いないから。あれをね、見て描くしかない。どんな記号パターンで描いているのかを探っていくしかない。よく見てみると記号パターンが隠れているんだよな。服のシワなんかもものすごくあるからさ。今こうやって描くとイケてる、エヘッみたいなのが実はあったりするんだよ。そう云うのに敏感になれるかだね。


No.18 「原画のプランニング―その@ 動きに対する適正な原画位置と枚数
に続く





 
 
           
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