作画のとび箱  
 
 

 

 

No.18 原画のプランニング―その@ 動きに対する適正な原画位置と枚数

吉原:(原画を見ながら)これくらいいっぱい描いていると言うことがあるね。

* 枚数は入っているんですけど・・

吉原:うん、ただ、無駄だな(笑)

* ハハッ・・・・ハハッ・・・ハハッ(悲笑)

吉原:まだね、原画をいっぱい描くって云うことの意味が解らないんだと思う。ただの中割を増やしているのと、原画枚数がいっぱいあると云うこととは意味の違い、それが解るのはまだまだ先だけどね。
 原画と云うのはね、基本的に動きの流れをガチャつかせるものなんだよ。原画が多ければ多いほど引っかかりが多いってことなのね、解る? 例えば、振り向きだったら全部(動画の)中割の方が引っかからないんだよ。動画が上手く割れていれば。だけど、(原画で)間の絵を入れるだけで実は動きって引っかかっちゃうの。つまりそのポイントって言われるところが原画なんだよね。つまり、引っかけたくて、そこに必要な絵だからあるのか、ただ送り描きのようにあるのかって云う違いがまだ理解されていない。「その原画無駄じゃねぇ? むしろ動画で中割りした方がスムーズに動くよ」、とか。頭の使いようなんだ、何のためにここに原画を入れたかと云うのは。ガムシャラに原画枚数描くことがいいことではないんだ。解りやすく、すごく単純に言っちゃうと、原画の絵を目に引っ掛けたくてそのポイントに描いているのか、スムーズに流したくて描いているのかって云うことね。それを考えて描くと、もうちょっと選択された原画になるかもしれない。この原画にはつまらない絵が多いんだ。途中の動作の絵が入っているとか、動画が中割すればいい絵が入っているだけ。
 例えば、横向きから前を向くカットってさ、2枚の原画だと大きさが変わるでしょう? つまり、君から見てこのアングルとこのアングルだと動きの差が大きいから、繋げた原画で描くって云うのはものすごく立体物を捉える力が必要なわけよ。それは動画には要求されない。原画で2枚描いておけば動画は軌道の調整をすればいいだけ。まだそこが不安なので描き送り的になっているのかな。でも実は原画って動きのピンポイントを探しているところだぜ。一番効率のいいところに絵をスパーンと入れるって云うさ。しかもそれは動画の中割じゃあ絶対に生まれない絵なんだよね。動きにこだわるって云うのはそう云うことだよ。
 この原画には‘ヨッコラショ’が無いんだ。立ち上がるときに必ず前屈みになる瞬間があると思うんだけど、その原画が足りない。この動きをやるのならそれが必要だったと思うよ。それが目に残る引っかかりってこと。動きの軌道の中で引っかかるところがタメになっている。ようするに原画は動きを引っ掛けるために描いているようなもんだよ。だから描けば描くほど引っかかっちゃうの。引っかかっちゃう原画がいっぱい描いてあるからガチャガチャ動いているように見えるの。つまりガチャガチャしたくないところは原画を描かないほうがいいってことなんだよね。それをプランの中に入れておいた方がいいと思う。効率ももっと良くなるはずだ。無駄に時間をかけているのは勿体ないと思うよ。無駄もいいんだけどさ、必要なんだけど。たくさんの無駄を経験するのも大切なんだけどね。
 この前本社に来てくれた井上俊之さんの原画ってそうだよ。あの人の原画は、『もう(作画)打ち合わせしながら計算しているな、この人』って云う計算のされ方。経験からくるものでもあるんだけど、そうやって井上さんの原画を見ていると面白いんじゃないかな。楽するために(原画の指示書きで)「他、中割」とは書いていないんだよ。意味があるんだ。アクションの原画で、動きとして目に引っかけたいパーツ、例えば腕の原画は描いてあるんだよ。だけど腕以外の部分は動画が中割で割ってくれたほうが印象として綺麗に動くと。だからその部分は動画の中割指示にしているとかね。つまりこのプランが原画なんだよ。枚数が多いからよく動いている、そう云うことじゃない。ポイントを探して動画マンでは生まれない絵を生んでいく。それは動画が下手でも自分の思い通りの動きを原画で成立させていると云うことだよ。それが原画のプラン。どうしても中割が上手くないと成立しないものもあるよ。それは動画に任せるしかないんだけど、原画が仕掛ける面白みってそう云うところだよ。そう云うところをもっと探求してみると面白いよ。
 例えばさ、これはもう提出し終わった原画なんだろうから、動画の中割を自分で入れてみて、いらなそうな原画を引っこ抜いて見ればいいんだ。必要最小限の原画はどれなのか探るために自分で割ってみればいい。「実はこの原画とこの原画があれば、あとは中割でこの動きって出来ちゃうんじゃねぇ?」って判ると思うよ。そうやって洗練されていく。数をやれば段々そうなっていく。ただ、カット数と生活に追われて原画枚数が減っていく危険はあるけど、そう云うこととはまた違うんだけど。確かに動画の割りづらいところに入れてやることには意味があるんだよ。でも、この動きに対する適正原画はもっと探求する余地がある。それが一番大変なんだけどさ。

No.19 「原画のプランニング―そのA 中割に任せた方が上手くいくもの」に続く

 





 
 
           
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