作画のとび箱  
 
 

 

 

No.21 原画のプランニング―そのC 芝居のつけかた

* キャラのバストショットに入っていた腕を、ただ下ろしてフレームアウトさせるカットだったんですけど、その間を中3枚くらいにして、どこに何を入れれば一番いいんだろうと・・・

吉原:ハッハッハ。それもね、手を下ろしたっていう情報だけを見せたいのか、手を下ろしたってことを印象づけたいのか、こいつがオカマであることを表現したいのなら、下ろすときに・・・・このポーズの原画がいるわけじゃない?

* (笑)・・・!?

吉原:だけど、すんなりアウトさせたいときは、動画の中割で綺麗に見せるためにアウトするまでの絵をなるべく引っかからない絵で描いておけばいいわけじゃない? 動線が不自然な軌道にならないように。例えばアウトするまでに1回肘を張る芝居が必要なら、原画が一枚ここに必要。コンテを読み込んで見せたいことを絞っていくしかないんだよ。
 あとは、自分が何やりたいかだね。ただアウトさせるだけじゃつまんないと。フレームアウト直前にVサインだしてぇとかさ、これ、やってもいいんだよ。多分演出に切られるけど。でも、「あ、いいね、このキャラクター、こう云うことするよ」ってなったら君の案がそのまま通るから。ま、まず無いけど(笑)。もしくは、よっぽどインパクトがあって、「もういいよ、これ、こう云うキャラにしちゃおうぜ」ってなるかだよね。よっぽど良くないと無いけど。どこをどうしたいか。それもなるべくシンプルに頭の中で一回何をやりたいかを考えてみればいいと思う。ギャグにしてもアクションにしても、ここまでやっていいのかなって思っている部分よりも、更にもう一歩先に行かないと、『うわっ、絶対怒られる』くらいまでいかないと、実はあんまり効果が無いかな。絶対自分の中でセーブしているんだ。‘良心回路’が働いているんだ(笑)、どっかで。1回パーンと外しちゃうと、外しっぱなしが気持ちよくなって脳内麻薬が出て今石君になるんだけど(笑)、遊びができるプロの原画になれる。いろんなことがやれる。いいだろ? それはよく物事を知っていくってことだよ。
 とにかくやってみて削られればいいんじゃない? 遠慮して何か潰れちゃうよりも。ただ、その時に『こいつ作品と協調性があるな』とか、単純に動きを探求していって、作品の世界観との折り合いが付いているって云う場合は生かしてくれる可能性もあるけど、あまりにも自分勝手だとそれが鼻について何もかも切り捨てられる可能性もある。だから何かをやるっていうのはけっこうリスキーなんだ。リスキーなんだけど、協調性さえ忘れていなければ、自分なりに作品とキャラを考えたものであって、自分勝手なものではないって云う自信があればやってみればいいと思う。まずやってみればいい。向上心だけでやったことで、『ふざけるなコイツ』ってなることはめったに無い。だけど協調性無くやっていることは、これは蹴られるよ。これは人間の心理なんだ。協調性は必要なんだよ、ある程度は。自分の喜びが欲しかったら、まず人に喜んでもらう。そう云うことでしょうか。今はそう思えるように俺もなった(笑)。

* これは今やっている原画なんですけど、たじろいで振り向かせるんです。どう描こうかと・・・

吉原:分らなかったら演出に直接電話して聞け。全然聞くことは恥ずかしいことじゃないよ。

* 演技を考えるのもアニメーターの仕事かと・・・

吉原:そうだよ。そうだけど、分んないんだったら聞いたほうがいいんじゃない? 意図をはっきりさせるって云う意味だよ。自分がより確実にやるために情報量を増やしておくために聞けばいいよ。お手上げだから聞いてやり方を教えてもらうと云うことじゃなくて、できるだけ演出の意図を汲み取りたいと。それに沿ったものを上げたいから、もうちょっと原画を描く前に情報が欲しいと云うことは失礼なことじゃない。演出も伝えづらいことを文字で書かなきゃならなかったりするので、以外に電話してみたら「あ、それフリッカーで振り向かせてください」くらいのことだったりもするのよ。地方でやる君らはそのへんはもっと貪欲に行くしかないんじゃないかね。普通だったら聞かないけど、地方だから聞いちゃおう(笑)、くらいでいいんじゃないかな。嫌がれることも多々あると思うけどね、『うるせーな、テメーで考えろよ』みたいなね(笑)、多分思われると思うけど、俺だったら電話切るしね(笑)。

* メッチャ恐いじゃないですか!

吉原:冗談だけど、うん。それくらいでいいと思うよ。


No.22 「タイミングのつけ方 3コマ、2コマ、1コマ」に続く





 
 
           
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