>
 
   
 
         
       
       
       
      2005.07.11  
   
 
 
 
   
 

No.12「押井守に100万払うよりも」

堀川:制作は当然そういうところを見ているし、いろんなセクションと話をするから、全てのセクションに自分の責任で仕事をさせてあげたいと思うじゃないですか。全カット動検(動画作監)通したいし、動仕撒きではなく動画に色指定を打ち込ませてあげたい。全カット仕上検査を通してあげたい。みんな自分の仕事に自負を持っているから、そう云うスタッフと話をすれば、当然そう云う思いは生まれます。その為にはスケジュール管理をしてボトルネックになるセクションにいかにコンスタントに供給するかだけど、でも、僕はI.Gに入ったときに‘・・・オヤッ?’と思った。I.Gは割り切っているんだと思った(笑)その部分は。商品としては当然のことですけど、最終的な画面映えを優先している。スケジュールは平等じゃない。どのスタッフを中心に置くかが徹底していた。黄瀬(和哉)さんとか。その後半の瞬発力をサポートできるスタッフが人選基準だったんだと思います。そこは割り切っていたと思うんです。僕がそれまで考えてきたやり方とは違っていた。陰で支えるスタッフに目を向ければI.Gの動検以降は大変だなーって(笑)、I.Gに入った頃思ったんです。
石川:あの・・・、たぶん2つあって、これ、(ここにいる)川崎逸朗が言ってたんだけどさ、「石川さん、ボーナスね、同じ10万払うんだったら新人に払ってあげた方が押井守に100万払うよりも遥かにね・・・」って。
堀川:ハハハハハ。
石川:押井守に100万払っても、本人そんなにありがたく思わないよって。・・・あ、20万? 30万でもいいや(笑)。でも、新人に5万でも10万でも出してあげたらものすごく喜ぶからって言われたことがある。そう云うことはいっぱい覚えていて、その通りだと思うよ。だから今、押井さんは「石川の野郎、ねぇ、俺には5万、3万、下手したらゼロだぜ」って言っているじゃん。本当に出していないと思うよ、ここには(笑)。新人に出してあげた方がいいと思うんだよ、それ、やっぱり生きたお金の使い道だと思うんだよ。
さっき言ったように黄瀬達はI.Gの歴史を支えてきた人材だから。やっぱり会社の等身大で、その時どき、その大きさで人材は変えていかなきゃいけないところもあるの。
 こう云うことがあったんだよ。I.Gの仕上を強化ようと思った時、I.Gにはフリーの仕上しかいなかったんだよ。やっぱり作品のクオリティーを支える末端のそこ(仕上)が重要だと思ったんだよ、出口が。実力のあるフリーの色指定はいたけれど、フリーは作品単位で動くからね、立派な仕事をしていても、プロダクションとしての仕上を育て上げるなんてことはまず無いだろうと。その頃日本人と韓国人の仕上を見ていて『これはおかしい!』って思ったの。韓国人の仕上が1人1日50枚塗れるのに(*この頃はデジタルではなくセルです)、日本人は10枚しか塗れない。それなのに、10枚しか塗らない人間が韓国人の塗りは下手だって文句を言う。3枚しか塗らない日本人が文句ばかり言う。これはおかしいんじゃないかと思ったの。日本人だって50枚塗れるはずだって。実際に見ていると、韓国人は黙々と仕事をしているんだもん。日本人はお菓子を食べながらダラダラ塗っている。それじゃやっぱり塗れないだろう。そこで野口(真智子)さんを仕上の管理者として入れたら、朝から晩まで仕事をキチッとやってね、10枚しか塗れなかったのが、30枚も40枚も塗れるような組織になったんだよね。その組織ができたときに初めて黄瀬の土壇場でやった仕事が最後でクオリティーを落とさずに生きるんだって云うかさ、そう云うのは目には見えないけど、何処にお金を投資していくかだと思うんだよね。
 会社の規模が大きくなったら何に特化するか、投資してそう云う部署を作ることが大事なんじゃないかって考えてきたから。それは積み重ねだと思うんだよね。だからI.Gはそれほどヒットはしないけれども、そう云うところに人材とお金を投資して特化させているんじゃないかって云う気はしているんだよ。

No.13「フリーの、たぶん、本質」に続く

 


 
       
           
           
Copyright (C) 2004 PA works Corporation. All Rights Reserved