次の交差点を、逆
   
 

No.29 付録「7年くらい前に考えたことなの」−車中で試す一人芝居−

石川さんに「堀川頭が固いよ」と言われたことがあります。自覚していますとも。でも、今回のインタビューで1つ、僕は思考のツールを手にいれました。僕が考えたことに対して、‘石川さんならどうアプローチするか’を考えてみることです。逆転の発想で、そこは石川さんになりきって、とりあえず「逆」って言ってみるんです。これは制作の外回りの長時間ドライブのときにも、きっといい頭の体操になります。プロダクション・アイジーの制作にも勧めたいくらです。眠気覚ましになるから。ある意味疲れる、自分の小ささが悲しくなるかもしれないけれど、現状に対して前向きにはなれるから。僕も富山から車で上京すると6時間くらいかかるのですが、1つこれからの楽しみができました。そんな訳で以下は妄想です。これ、やってみたの。鴨汁うどんを食べる(石川)さんになりきって。

堀川:今回石川さんに語ってもらったことを僕なりに整理してみたんです。制作は日々シミュレーションとコミュニケーションの訓練だったけど、今は分析とフィードバックの訓練が日課なんです。まず知りたいテーマを決めて、それを成立させているファクターを考える。そのファクターのバランスと構造からテーマの本質を探り出して、現場にフィードバックする方法を考えてみるんです。すぐには出来ませんけど、やっぱりこれも訓練なんです。今回の石川さんのインタビューから、テーマ「ずばり、雑・草!」のドラマの本質を考えてみたんです。それを現場にフィードバックするために。
(石川):うん。
堀川: 石川さんが着手した組織改革は、暴れる奴等、陰で支える人々、マーチャンライター、質の高い制作、と、「軸は人だからさ」を理念に掲げて、そこに‘面白いモノ’、これはI.Gが新しい観客層を獲得できる作品だと思うのですが、そう云う作品が生まれる環境を作ろうとしていますよね? リスクはあるけど人材を大きく入れ替えて、過酷な、チャンス? で若手を鍛えて。
(石川):うん、うん。
堀川:石川さんのインタビューをいくつかのファクターに分けて組み立てた「ずばり、雑・草!」のシナリオの構造、この構造をじっと見つめていたら解ったんです。あっ! そうだったのかって。石川さんがI.Gを舞台に書こうとしているドラマが。このドラマの本質は制作会社のイノベーションだったんだって。これはイノベーションの構造なんだって。
(石川):そうね。
堀川:ちょっと嬉しくなりました。もうハウツー本なんか・・・「サルでも解るシュンペーター」とか、「犬でもかじるドラッカー」なんて本を見つけたとしても僕は手に取らない。こんなに身近にアニメーション制作会社のイノベーションのケーススタディーがあったんだって!
 会社経営で継続的な創造的破壊の実践って、石川さんがやろうとしている「ずばり、雑・草!」のシナリオのように、クライマックスの無い、1勝1敗のドラマをエンドレスで演じることができる、意識を市場に向けて現場とバランスを取りながら新しい価値を創造する環境を作ることなんですね! これからP.A.WORKSも身の丈にあったドラマを描いてみようと思います。
(石川):そうだね。まぁ、今の堀川が解るところはそこまでかな、と思うよ。
堀川:(ズキン!)そこまでです、そこまでですとも、ええ。(涙)
(石川):それは石川が7年くらい前に考えたことなの、言っちゃうと。思うのは、ね、堀川、もっと先まで辿り着いてやっと見えてくるところもあるの、やっぱり。自分も今だから言えるけど、言えるんだけどさ。
‘愛’
堀川:
(石川):分かる? 堀川、‘愛’ってなんだと思う? これ、大サービス。
堀川:愛ですか・・・いつくしみ。かはいがること。(明解國語辭典)
(石川):固てぇよ(笑)
堀川:じゃあ、そのものに尽くすことこそ生きがいと考え、自分をその中に没入させる心。(新明解国語辞典・初版〜第三版)
(石川):うーん、ボツニュウ‘させる’か…
堀川:ん? じゃあ、これ、サービスですよ。個人の立場や利害にとらわれず、広く身のまわりのものすべての存在価値を認め、最大限に尊重していきたいと願う、人間本来の暖かな心情。(新明解国語辞典・第四版〜第六版)
(石川):うっ。
堀川:来ましたね、今、ココロにギュッと来ましたね!
(石川):
堀川:いやいやいやいや(笑)、だって・・・何故?
(石川):考えろよ。
堀川:えーっと、えーっと、
(石川): どれを聞いても、その‘愛’は与える側のものだね。望む者の解釈じゃない。
堀川: ・・・
(石川):堀川、クリエーターの本質はね、たぶん、‘愛’を望む者達だと思うよ。
堀川: じゃあ、じゃあですね、愛って、
(石川):「決して後悔しないこと」
堀川:あらららら・・・
・・・フッ、それ、逆、です。
(石川):ほう、どうしてそう思うの?
堀川:それは・・・、それは・・・、ちょっと考えていいですか? 一度くらい(石川)さんに、「逆」って言ってみたかっただけです。
(石川):そうだね。


No.30 付録「愛と鴨汁うどんのデフォルト宣言」(最終回)に続く

 


 
       
           
           
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