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  No.16 「定着率の謎」

後藤:それができるといいよね。I.Gもよく1年で辞めるでしょ? 「まーだ、早いよ!」って何度言ってきたか分からないくらいそう云う人が多いよね。
堀川:それはI.Gに限らないと思いますよ。だから下請会社は育成に投資しなくなったんです。
後藤:I.Gも最初の10年くらいは体力も無いでしょ? 無くてそう云うのばっかりだったから、何でこの頃定着率がいいのか不思議なんだよね。
堀川:この規模と、いろんなシリーズが安定して回ったって云うのがやっぱり大きいかもしれないですね。P.Aもこの5年で勝負をかけなきゃいけない。今は無理していっぱい採用しているんですけど、目下の問題は教える人が足りない。
後藤:(笑)うんうん。
堀川:教える側に立つ、先輩になる彼らは動揺しているんです。僕は、それは今のこの会社の環境に入った君たちの宿命なのだと(笑)。この業界は大変なのが当たり前なんだから、そこでどう作り上げるかを、ムリムリって言ってるんじゃなくて、むしろ作り上げる過程を楽しめと。君たちの苦労を5年後の後輩に話したところで、きっと誰一人理解はしないだろうけれど、その現場にいた者の共通のいい思い出話になるよと。ただ、今は彼らも数を上げることに必死だし、自分にも自信が無いからね、すごくもがくと思いますよ。
後藤:京都の八田さんのところ(*1)も本当に、ちょっとずつちょっとずつ人を残していって、自社作品を作るようになったけれど、時間はかかるよね。
堀川:20年ですよね。関西でも京都アニメーションが違うのは、自社に演出も背景も撮影もいて、作品を作り上げていく喜びをスタッフが知ったんだと思うんですよ。関西の作画会社では、やっぱり上手くなるとどんどん東京に流出している。沖浦さんが、京都ではアニメーターの何たるかは、木上益治さんの背中を見ていれば全てわかるはずだって言っていたんですよ。「アキラ」の時に、スタジオに入ったタイミングはずれていたんですが、仕事ぶりがすごかったって。そう云う人がそこにいる、きちっと仕事をこなす姿勢を示す中心人物がいる。I.Gではずっとそれが後藤さんだったと思うんですよ。黄瀬さんの無頼漢ぶりはアニメーターの憧れではあるけれども真似しても上手くはならないでしょ? たいていの人は他人の格好いいスタイルは簡単に真似ようとするけれど、大切な、努力が必要な本質には目をつぶるんです。朝からきっちり入って仕事をこなす。P.Aの川面(*2)も定時前に入って、一番最後まで黙々と仕事をするタイプです。育成にはそう云う背中を見せてやれる人が現場にいることが絶対必要ですよ。
後藤:そうだよね。入って来る人たちにも、こうやって頑張っていればコレだけのものがあるんだって云うものを何か示せればね。

*1:京都アニメーション
*2:川面恒介 P.A.WORKS 原画・作画監督

   
   
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