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  No.19 「ちょっと天狗になりながら」

堀川:後藤さんのスタンスのように、とにかく全力投球で、真摯な姿勢で作品に貢献することに意義を見出す。価値観を、自分がこの原画をやったことで、この作品の質がボトムアップするんだって云うところに持っていければいいんですけど。チームとしてやっていると云う感覚が1スタにはあるかもしれない、S.A.Cなら浅野君が作監の回を自分たちでバックアップして、いいものを作ろうって云うものがあったのかもしれないけれど、フリーのアニメーターが、じゃあ15カットなら、10カットなら手伝いますって言っても、自分が底上げしているという意識は持てないと思うんです。
後藤:うん。
堀川:でも、アニメーターってみんないい人たちだから、10カット、15カットを制作から頼み込まれて断れない人たちが多いので、仕事をいっぱい抱えて、作品を作っていると云う感覚がなくなっている。参加意識を持てない。それが一番の、今彼らが消耗していると感じる原因なんです。この関係をずっと続けることがお互いにとっていいことだとは思えないんです。でも、僕の情けないところは、彼らがそれを請けてくれているから作品を落とさずに持っているんだって云う目の前の矛盾した現実がありますよね。請けてくれる原画マンの人情で支えられている。いつまでもそれじゃ駄目だと。
後藤:確かにそうで、俺もそう云うときはあるよ。少しずつ会社のいろんな作品をやるときもあるけれど、そう云うときはモチベーションが高いかって云うと、高くは無いよね。立ち位置なのかな、と思うよ。作監でもないし、メインスタッフでもない。とりあえずカットをスケジュールどおりに上げて渡すって云う仕事になっちゃっているよね。
堀川:1本のテレビ放映中4分、5分のシーンをやったら、すごく見応えがあって、やったっていう達成感があると思うんですけど、15カット、1分にも満たないものだと、今日放映日だったんだで終わっちゃうかもしれない。
後藤:それね、今の現状が難しくしていると思うんだけど、十何年前と今とでは見る人の要求度合いが違っていたり、I.Gも劇場作品を作って、このくらいのクオリティーのものができるって云うのがあるわけじゃない? そうなると、アニメーターはここまでクオリティーを上げないと駄目だって云うところもあるわけ。昔は半パート(約150カット)とか、平気でやっていたんだよね。もちろんその頃はスピードも、パワーも、若さ故の、ああ、勘違いで、自分は上手いんだって云うイメージを持ちながら、ちょっと天狗になりながらやれた頃だった。下手な絵を描いても、これがいいんだよって思える若があったと思う。今の、特にI.Gの作品、攻殻やBLOODを半パートやれって言っても、これは出来ないよ。
堀川:出来ないです。

   
   
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