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  No.11「考えません? 今自分が子供で、」

堀川:それが出来ればもっと作品全体をコントロールできる割合が多くなるからね。
古川:そればかりじゃ・・・それはそれで面白くなくなっちゃいますけど。
堀川:僕はそれが主流になりそうな気がするなぁ。
古川:どうなんですかねぇ。あんまり作画が立派過ぎるアニメもなんか・・・70年代のアニメを見ていた世代としてはとっつきにくいと云うか(笑)。マンガの延長として見られる世界と、完全に完成された世界とではやっぱり入り込み方が違うような気がするんだけどな。昔のアニメとか見ないですか、今? 中学校のお子さんが?
堀川:見てないねぇ。
古川:見ていないですか。あれを見てどう思うか、それとも全然興味がないのか。
堀川:子供には古さとか作画の質は全然関係ないよ。内容が全て。
古川:たまたま「天才バカボン」の一番最初のシリーズを見たけど、あまり古さを感じなかった。もっと色褪せているかなと思ったけど全然って云うか、芝山努さんだからムチャクチャ絵は上手いし、色もそんなに褪せていなくて、線はビシビシ決まっているから、昔のアニメを見ても全然入っていけると思うんだけどなぁ。どうなんだろう、今のCGを取り込んでいるアニメよりは入り込み易いような気はするんだけどなぁ。子供が見ていたら是非感想を聞きたかった。今のアニメしか見ていないんだったら逆にかわいそうだな。「宇宙戦艦ヤマト」を見直したけど、今1話を見てもゾクゾクする。僕は小学校で見た世代だけど、あれを中学生が見たらゾクゾクしないものか。1話の、あそこまで絶望的なところから始まるアニメって凄かったですけどね。テンポは今より遅いところはあるのかもしれなけど。それを今の子供達が見てどう思うか非常に心配で。日本は特にそう云う古典とかを丁寧に扱わないと云うか新しいものしか見ていかないから、70年代の貴重なアニメの財産を子供たちが見ないで育つのだとしたら、それで将来できるアニメは面白いのかなと思っちゃうし。
堀川:面白い考えだね。
古川:考えません? 今自分が子供で、今何を見ていたらどうなったかな、とか。
堀川:俺も子供のころにアニメをそんなに見なかったからなぁ。一番見たアニメはたぶんトムとジェリー。あれは小学生の俺に、アメリカの中流家庭に対する憧れと、巨大なクリスマスツリー=幸福と云うイメージを植えつけたと思うよ。
古川:それは変わった(笑)。どう云う経歴なんですか?
堀川:どうしてもアニメーションがやりたかったわけではなくて、実写でも演劇でも裏方ででも作れればよかったんだけど、3つの中ではアニメーションの制作が一番何とか食っていけそうだったから。「夢は食えなきゃ見続けられない」って言う兄貴の助言に従った。
古川:えーっ! まぁ、今まで食べられたんだから・・・
堀川:80年代はほとんど見ていない。部活ばかりやっていた。
古川:その頃からアニメがオタク的なものに見られ始めてきた時代だったから、その前かなやっぱり。
堀川:もちろん小学生のころ名作劇場は見てた。カルピスのCMが好きだった。「粉雪ほっ♪」とか「ルフルンルフルン雪ウサギ♪」とか。
古川:「アルプスの少女ハイジ」は今見るとなかなか複雑で、一旦フランクフルトへ行って戻ってくるところまでは大人の目線で見られるんだけど、最後のクララが立つあたりは見ていられなくなって(笑)。あまりにもハッピーすぎて。原作では爺さんは昔人を殺して散々悪さをして、心を閉ざして山に閉じ篭っていたのが、ハイジの心に触れて少しずつ心を開いて最後には村に降りてくると云うような話ではあるんだけど、アニメの最後の方は、「母をたずねて三千里」の準備で忙しかったのか、急におじいさんが名医になって神様みたいになっちゃうんですよね。これはハッピーすぎて、完璧すぎて見ていられなかった。昔のタツノコの「みなしごハッチ」とか、「けろっこデメタン」とか、暗い路線は駄目だったな、俺。
堀川:ハッチは見てた。あれで俺にとってスズメバチとカマキリは悪い奴になったんだ。俺、すぐに主人公に同化しちゃうんでね。

   
   
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