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  No.12「その人が仕事をしていく上で何か必要になってくるもの」

堀川:レイアウトが楽しいと思えると云うのは資質の部分もあると思いますか? レイアウトに対するこだわりが弱いような気もするんですが。
河野:うーん、確かに実感はしますね。レイアウトが上がってきても、空間を作っていくことだとか、シーンの流れを作っていくことにあまり興味が無い人なんだなって云うのが多い気がしますねぇ。でも俺も最初は描けなかったんです、本当に。パースから駄目だったので、あの白いレイアウト用紙を目の前にした時点が一番苦痛だった時期があったんです。アニメアールの先輩に加瀬政広(*1)さんがいらっしゃって、相談に行ったら、レイアウトを取る楽しみみたいなものをこう、精神論みたいなんですけど、ちょっとアドバイスして頂いて、そこからは急に変わりましたね。加瀬さんのおかげだなと思いますね。
堀川:P.A.本社のアニメーターが吉原(正行)と話をする機会を設けたんですけど、彼等が必要なことのほとんどは技術論ではなくて精神的なアドバイスなんですよね。
河野:ここでこう云う線を引きなさい、じゃあないでしょうね、やっぱり。そのカットのその1枚に関してはそうかもしれないですけれど、その人が仕事をしていく上で何か必要になってくるものは、そう云う精神論じゃないですかね。
堀川:それはその人に合わせた答えなんですかね?
河野:うーん、加瀬さんが忙しい作業の合間を縫って、その時の俺の状態を分析してサジェスチョンしてくれたかは判りませんけど・・・。たまたまそれが響いたのかもしれないですね、自分の心に。
堀川:今一番の問題はそう云うコミュニケーションが取れていないことだと思うんですよ、特に精神的な面でのアドバイス。
河野:それはやっぱり原画にメモを書くだけでは難しいでしょうね。
堀川:後輩に語ってやれる場所が無いじゃないですか。それを語ってやれる親分肌の原画マンも減りましたよね。演出がそうしてやるべきところも非常にあると思うんですよね。若い原画マンを集めて。
河野:ああ、それは確かにそうですよね、演出が語ってやるのが一番だとは思いますよね。
堀川:吉原も、原画をボチボチ始めたP.Aのアニメーターに対して、君らの仕事はどう云うことで喜ばれるかを語ってやりたいと云う話をしていたんです。残念ながらそう云う話を聞いて最初から『あ、そう云うことか!』、と気付ける人間はほとんどいないと思うので、僕は記録して残すようにしているんです。アニメーションの技術書に精神論は載っていないですからね。いつかその言葉が本当に必要になる時のために残しておいてやろうかなと。
河野:そうですね。
堀川:何に喜びを感じるかとか、どうやって自分で苦痛なところを乗り越えるかって云うのは技術では無いなぁと。

*1加瀬政広:アニメーター・『ミスター味っ子』キャラクターデザイン

   
   
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