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  No.08 「感覚を言葉にする能力」

堀川:中村さんのケースは、作品の参加動機にせよ、レイアウトに対するこだわりにせよ、今のアニメーターとしてはかなりマイノリティーですよね。
中村:そうですかね。僕はどちらかというと、動きと云うよりも画作りと云うか、画面構成の方に興味があるんです。
堀川:演出的なもの?
中村:そうですね、最近は自分でこうしたいって云う気持ちも出てきていますよね。
堀川:アニメーターが何を欲しがっているのかなと思って話を聞いていたんですけど、演出からのリアクションをとても欲しがっていると思ったんですよ。自分が上げたものに対しての。実写とか演劇って、演技をしたその場で演出からダイレクトにリアクションが返ってくるじゃないですか?
中村:はい。
堀川:僕はその緊張感が羨ましいんですけど、短時間で自己陶酔するようなテンションのコントロールよりも、むしろアニメーションの現場では、長い制作期間中いかに緊張感を保ち続けられるかなんです。上げたものに対してリアルタイムで演出から反応が返ってくるわけでもない。特にフリーで、外で仕事をしている場合には、打合せが終われば後はだいたいメモ書きでのやり取りになる。
中村:そうですね。
堀川:やっぱり緊張感のある現場、参加意識の高い現場には、上げたものに対してのリアクションが必要なんじゃないかなと思ったんです。クリエーターにとって、監督や演出からの適正な評価は刺激になりますよ。それで、僕も演出のリアクションの方法、アニメーターとの対話の方法を考えようと思って、若い原画マンに「毎日演出から上がりの評価の電話をするってのはどう?」って聞いて見たら、「そんなことされたら怖くてカットが出せなくなる」って(笑)
中村:ほぉ。僕もここ(9スタ)に来て演出の松本(淳)さんと組むまでは、わりと一方通行的なやり取り多かったんです。松本さんと組んだときに、自分でこうだと思ったことを相手に納得してもらう必要があるんだって、結構ね、身にしみて感じたんです。それから理屈をいろいろ考えるようにはなりましたね(笑)。
堀川:ほぉ、そうですか。
中村:「感覚的に気持ちいい」だけじゃ納得してくれないので、理屈でこうじゃなくちゃならないんだってことを、相手に理解してもらえるように伝えることができる能力は必要だと。
堀川:演出には必要、神山監督が「説得する商売だ」と言ってたように。でも、アニメーターは描いた「絵」の説得力が全てだと思うんですけど、どうなんでしょうね。関口さんも、黄瀬(和哉)さんは直した絵で解答を示す。説明してもらえるわけじゃないから、それに気づけるかどうかだったと。
中村:そうですね、説明は難しいんですよ。でも、演出を納得させるのには、それがやっぱり必要なんだと思いますね。
堀川:演出って相手を説得することに長けた人たちだからなぁ。
中村:(笑)。
堀川:松本さんと組んだことは無いですけど、あの緻密な演出を見ていると理詰めそうですよね?
中村:いやぁ本当に、「何でそうなるんですか!!」って(笑)。
堀川:灰皿が飛んできたりはしないんでしょ?(笑)、そんなピリピリしたやり取りが現場であったら、僕は困った顔して内心ワクワクして見ているなぁ。だって、それが無かったら、「作監様何卒宜しく」のメモばかりの作品も多いですから。
中村:ええ、そうですね。松本さん自身絵が描けますからね。
堀川:あ、そっか。元々アニメーターですもんね。
中村:だからすごく面白かったですね。
堀川:へぇ、それはいい経験でしたね。
中村:ええ。

   
   
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