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  No.13 「確信犯で嘘をつくとき」

関口:うーん、結局絵を描くときには、「こう見えるんです」じゃなくて、「何を見せたいの?」って云うことになっちゃう。確かにこの位置にこの人とこの人立っているよ。でも、このコンテのカメラ位置から実際に撮ったら、この人はこうは見えないよって云うときがあるじゃないですか。だけど2人とも入れなきゃいけない、入れた上でレイアウトのバランスと、この人の表情も見せなきゃいけないって言ったら、つかなきゃいけない嘘があるんですよ。でも、見て気持ちいい絵って嘘だったりするじゃないですか。嘘を本物っぽく描く、騙し絵なんですよね。
堀川:今回はレイアウトの3D出力が多いから騙し絵を作りづらい部分があって、結構古川君(*1)は調整しているみたいなんですけど。
関口:そうなんですよ。今回はその辺にも興味があるんです。自分で描くときも確信犯で嘘をつくときがあるじゃないですか? このアイレベルじゃ絶対この辺は見えないけど、見せなきゃいけないから収まり優先で描くことがよくあるので、ごまかしが効かない3Dで出力するって云うのはチャレンジだなぁって。どこまで対応しきれるんだろうって、気に掛かってはいるんですけど。
堀川:今回の3D出力はあくまでガイドラインで、演出意図で修正が必要なものは、それを元に手描きで描き直していますよね。でも、理詰めではこうなんだけどって云うのが示された上でなので、最初から破綻しているものの描き直しではなく調整で済むんです。
今回3Dで出力する割合をどうするかをミーティングで話し合ったんです。最近はアニメーターのレイアウトに対するこだわりがね、ごく一部を除いて以前ほど無いと思うんです。どうもいろいろ話を聞いていると、アニメーターのモチベーションはアニメートに、動かすことに行っているんじゃないかと。そこに戻っている。
関口:ああ、そうかも知れないですね。
堀川:きっちりとしたレイアウトが少ないんです。それは高いレベルの作品でいつも嘆かれてはいるけれど、僕はその部分はもう打つ手無しだと思っているんです。3Dレイアウト以外誰も代案を示せていない。レイアウトは今後どんどん3D出力になると思います。僕個人はそれをあまり嘆いてはいなくて、アニメーターがアニメートで元気になるならいいとも思っているし、美術スケジュールも確保できる。むしろ、通常のTVシリーズでも、作画のレベルを考えて平面的な構図を取っていた絵コンテも、その必要がなくなるんじゃないかとも考えたんです。
今回はスケジュールと週間ノルマも考えて、クオリティーを上げるだめに、レイアウトは極力3D出力にしたほうがいいと進言したんです。「最高よりも最善を」って、川元さん(*2)が「アニメーションRE」で語っていた。名言ですね。あの人の仕事の姿勢でそれを言うから説得力がある。
神山監督はその結論、「1カットでも多く3D でレイアウトを構築していくしかないね」、が出たときに、「いいレイアウトを‘手で描く’と云う時期は、ある一世代で終わったんだね」って。


* 1:古川尚哉(ふるかわひさき) 攻殻SSSレイアウト作監
* 2:川元利浩 BONES取締役 アニメーションディレクター

   
   
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