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No.10「最終段階でブレることは無い」

堀川:10年くらい前だけど、デジタル化が進み出したときに1つ危惧したのは、演出の判断能力が鈍るなと思ったのね。判断を先送りするんじゃないかと。ラボ上がり(フィルム現像)の手間と予算をかけなくて済む分、画面で見ないと判断を下せない演出が増えるだろうなと思ったの。モーションのタイミングでも、色でも、効果でも。TVシリーズの演出は無いスケジュールの中で瞬間瞬間の判断力を必要とするからね。それが何でも映像で見てから判断したいって云う演出が増えるんじゃないかなと思ったんだけど、そのあたりはスケジュールとの折り合いをつけているのかな? 
橘:そうですね、コンポジットしてみないと分からないと云う問題は、結局スケジュールとの問題が絡んでくるので制作の判断になってくると思うんですよ。画面の追い込みはあるにせよ、結局背景打ち合わせ、色打ち合わせと云う段階でイメージを固めて方向性を決めて作業を進めているわけじゃないですか? それで、演出は撮出しのときに初めて背景とセルを合わせてチェックしても、その段階では両方の色が合うように作ってきているわけです。だから、どうしても特殊な処理で見せてくれと云うところはありますけど、全部が全部それはできないですよね。個人的に撮出しが苦手と云うこともありますけど(笑)、原画チェックのときにある程度決め込んでおかないと、あとでもう1回チェックするのは実は苦痛だったりするんです。それはもう演出が早い段階でイメージを固めておけば最終的な段階でブレることは無いと思うんですよ。特に攻殻に関しては撮影監督の田中さんが最終的な微調整はやってくれているので、個人的にはコンポジットのところで色の追い込みどうのって云うところまでは考えていないですね。狙いは最初から決まっているじゃないですか、作品を作り始める段階から。結局いろいろ出来るからって云うのに惑わされると狙いがブレてきちゃうので、そう云う方向にはならないと思うんですよね。いくらデジタルは何でもできると言っても演出意図がしっかりあれば、最終的に求めるものは変わらないはずですから。多分そこで色々言ってきちゃうってことは、演出プランが固まっていないってことなんじゃないかなと僕は思うんですけれども。

   
   
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