P.A.Press
2021.7.7

【P.A.オサカナ日誌】第1怪 街はアクアリウム

突然ですが、皆さんは「ファフロツキーズ現象」ってご存知でしょうか?

空から降ってくるものといえば、雨とか雪とかですが、時々、「その場にあるはずのないもの」が降ってくることがあるそうです。
このように不思議な天気を「ファフロツキーズ現象」といって、世界各地で事例が観測されている、いわば超常現象です。
たとえば何が降ってくるのかというと、観測例が多いのは主に水棲生物。
空からお魚が降ってくるのです。
落下点である街は当然、陸地がほとんどですから、お魚たちはかわいそうにも地面にボトボト落ちるだけです。
もし街が巨大な水槽だったら、降ってきたお魚はそのままスイスイと泳ぎ始め、新しい住処で新しい暮らしを始めるのでしょう。

ご紹介が遅れてしまいました…、はじめまして!
P.A.WORKS制作部庶務の園部と申します。
本社は富山にありますが、私はここ、東京都小平シティにあるP-10スタジオで働いています。
普段はスタジオ内の設備管理や美化、たまに制作進行たちのちょっとしたお手伝いをしています。

私は庶務の日課として朝にスタジオ各階の備品補充(ペーパータオルとか)をしているのですが、
3階の作画スタッフ部屋から何気なく窓から街をぼーっと覗いてみたりします。

車の往来や雑踏の音は空に白っぽく溶け、街はのどかです。

時々、不思議な気持ちになります。
お魚は降っていないけど、もし降ったとしてもなんとなく驚くことはないだろうな、
という、日常も不思議も一体化してしまったような、そんな気持ちです。

眼下ではいろいろな人が通り過ぎていきます。

忙しない様子で電話をかけながら早歩きするサラリーメン。
買い物途中でバッタリ会って電柱横で談笑する主婦たち。
ゆっくりと横断歩道を渡るおばあちゃん。
しかめっ面でチャリを漕ぐおじさん。
元気に笑いながら集団下校をする子供たち。

水道栓を捻り、シンクに水を貯める要領で、街を想像の海に沈めます。
窓を隔てると、街は水槽みたいで、街の人々はお魚みたいです。
みんな街の中で同じ時間を、でもそれぞれ違った時間で生活しています。

もし、街が水槽になって、お魚が降ってくるとしたら。
街の人々みたいにうまく住み分けて、きっと仲良くやっていけるでしょう。

まあ、だいぶ楽観的な思考だとは自分でも思いますが、こう平和的な気分に浸れるのはそんな悪くないことでしょう。
ちょっと軽やかな気分で、再び仕事に戻ります。

“平和ボケした愚者に天罰を…”

一瞬、なにやら怪しい視線を感じました。
振り向いて探すも誰もいません。
しばし首を傾げた後、床の隅で捨てられたようにぬいぐるみが横たわっているのに気が付きました。

あらら、こんなところに…、誰かの落とし物でしょうか?
あとで落とし物保管箱に入れておきますか。

ところで、いよいよ明日7月8日(木)は弊社の新作オリジナルアニメ『白い砂のアクアトープ』が放送開始ですね!
当ブログでは作品をより楽しんでいただくために、
水族館で暮らす生き物たちの可愛さをちょっぴり!制作現場からご紹介していきたいと思っております。
毎週水曜日に更新予定です!
このブログを読んで、『白い砂のアクアトープ』、そして水族館の生き物たちをもっと好きになって頂ければとても嬉しいです。
それでは、次週もぜひお会いしましょう!

つづく

LOADING