P.A.Press
2005.10.22

No.23 取り組みに対する姿勢

原画スタッフ:まだ自分が何に悩んでいるのかすら曖昧で、何を聞けばいいのか・・・

吉原:そう思うよ。悩みにすら到達していないって感じだね。迷っているくらいだったら決めちゃう。目標を自分で決めて、しかも公言しちゃう。自分の心の中にしまっておかない。今月は誰が何と言おうが50カットやりますとか。ちょっと頑張れば出来そうなのじゃだめ。まず50カット取るところから始める。新人だから信用ないかもしれないけど、絶対やりますって言えば、「わかった。じゃあやらせてみよう」ってなると思うよ。取ったらやるしかない。今月は原画やらずに動画900枚でもいいよ。「そう云うことじゃないんだ、数ではなく自分が描いた上がりでこう云う動きを実際の画面で見てみたい」って言うんだったら、もう1ヶ月に1カットでもそうなるように描くしかない。それで上がったものが思い通りになったかだよ。1回やってみるにはいい時期だね。そうすると、悩みと言えないような悩みに時間を費やしてられないことが解るから。君なら出来ると思う。その苦労を乗り越えたときの感覚って乗り越えた者にしか解らない。ただ、たったその1回で何かが変わる可能性はすごくある。それが出来るんだったら早いうちにやっといて欲しい。どのみちどっかでやることになるから。来月の目標と結果の報告をするように。

原画スタッフ:ひぇ~

吉原:あとは何年か後にどうなっていたいかと云う具体的なビジョンを立てておいた方がいい。二年後に作画監督やっていたいとか。そのために必要なことをやっていきましょう。まずは数を増やしていくことと、信頼されていくということと、今度は本当の意味で作監を助けるというところと。そこまでクリアすると自然と作監のチャンスがくると云う仕組みなんだけど。だから具体的な目標は立てた方がいいよ、2年後、3年後の。25年後なんて中途半端なのはやめて。数ではっきりさせておくのもいいし、P.A.内でのポジションでもいい。上がりは今の調子で、些細な直しは気にせず伸び伸びとね。

仕事でもポジションでも自分が獲得したい目標があるなら、まず周りを納得させる。周りからどう評価されているかにこだわるんだよ。その為のアピールの仕方なんていくらでもあるんだ。今しなければいけないアピールの仕方がね。俺が会社に入ったときに、社長と話す機会なんてほとんどなかった。じゃあ、一番アピールできる方法は何かって言ったら、動画枚数をやるしかなかった。それが経理を通して社長の目に止まる。そうやってアピールした。当然そのためには枚数をやらなきゃいけない。何を言おうが実際にやってみせるしかない。

アニメーターって一生やっていける仕事なんだ。無駄にしちゃいけない。会社は潰れる可能性はあるよ、残念ながら。だけど原画は技術職だからどうとでもやっていける、仕事は取れるんだよ。毎月自分の頑張り次第でいくらでも稼げるんだ。限界はあるけどね。それを無駄にしないで欲しい。唯の道楽で済ましちゃうのはもったいないぞ。道楽で終わらせるのは簡単だけど、本当のプロになろうと思えばいくらでも探求できるから、せっかく描けるんだから無駄にしないで大事にしたほうがいいよ。

LOADING