P.A.Press
2021.12.17

P.A.SALON限定イベント!「クロムクロ」オンライン画廊公式レポート

2021年8月27日~9月26日までの31日間、P.A.SALONにて「クロムクロ」のオンライン画廊が放送開始5周年記念として公開されました。

こんにちは。制作部の小西です。
「クロムクロ」制作当時、まだ新人制作だった僕に【オンライン画廊公式レポート】の制作発注がありました。 入社して6年目、気づけば中堅ポジションになっていた僕ですが、未だに「クロムクロ」制作当時の新人進行エピソードを先輩後輩に対してどうやら結構話しているらしく、そんなに言いたいことがあるならばと、白羽の矢が立ったようです。
制作はクリエイターさんのエピソードならたくさん知っているわりに自分のことを話すとなるとそんなに出てこないもの。新人進行だった当時のことを制作資料を見ながら思い出して書いていこうと思います。

石井百合子さんのキャラクター原案

当時の自分は、キャラクターデザイン・総作画監督の石井百合子さんが原案を描かれるのは普通のことだと思っていました。ですが意外にもキャラクター原案の多くは、イラストレーターの方や漫画家の方が担当されて、アニメ用のキャラクターデザインや総作画監督は別の方が立っていることを後々知りました。

自分が入社した時(2015年)には、剣之介や由希奈などのキャラクター設定は既に決まっていました。
全26話制作していくための大事な設定ですが、設定となるまでに石井さんと監督とで原案イメージをいろいろな試行錯誤を経ながら固められ、今の「クロムクロ」のキャラクターたちになりました。頭身が決まった後の髪型の変化など過程が見れるのは面白いですよね。

ヴィジュアルコンセプト・メカデザインと3Dモデルについて

当時進行をしていた時はそんなに感じませんでしたが、今見ると各ロボットの細かい設定が多い! これを見る人は子供心がくすぐられたのではないでしょうか。メインのロボットも良いのですが自分は量産型のヘッドレスがお気に入りです。モブロボットなのに登場シーンがカッコイイ(ちなみに#01c179です)。このシーンは衝撃的でした。言葉ではなかなか言い表せないですが、なんかかっこいいなというのと、急な絶望感に落とされる感覚がとても印象に残ってます。コンテに書かれていたので読まれた方はお気づきだと思いますが、当時ヘッドレスは「首なし」と呼ばれていました。

キャラクター設定とプロップ設定について

キャラクター設定やプロップ設定はアニメ制作の上で重要なものの一つです。 制作進行から多くのアニメーターの方にお仕事をお願いして作画をしていただくにあたり、服のデザインや表情などは指針として重要になってきます。
実はここだけの話ですが、「青馬剣之時貞」が剣之介の正しい漢字なのですが、 カット袋にキャラクターや小物などセルの名前を書く際、ずっと間違えて「青馬剣之助」と書いてしまっていました(画数多いのに)。最終話になるまで自分はこの間違いに気づかず隠しておりました(石井さんずっと間違ったまま書いていて大変失礼しました…)。

美術設定+美術ボード+ロケ地について

「クロムクロ」は富山を舞台に様々な場所を参考にして作られています。当時自分も制作していく中で富山勤務ではないもののずいぶん富山の地理には詳しくなりました。
僕は#02の制作進行を担当していましたが、富山市街地でロボットが戦うといったシーンがあるので、いろいろ調べてそこそこ地形などにも詳しくなった結果、この作品のSプロデューサーに説明用の資料(舞台など細かいロケ地の詳細な資料)を作ってくれというお仕事が舞い込んできました。当時の自分は何気なく作成しましたが、今思うと新人制作には結構ハードルの高い仕事だったのでは‥と、ふと6年越しに思い出しました。(相馬さん、次に会った時に「クロムクロ」のプラキットが届くと期待しています。)

コンテについて

自分が先輩から独り立ちして初めて担当した話数が、「クロムクロ」#02だったわけですが、コンテの内容はすごく面白かったのを覚えています。が、独り立ちしたとはいえ新人の僕にはまだあまり進行のやり方がよくわかっていない…しかも#02の演出は岡村監督!当時はとにかく緊張して大変でした。そんな中監督は新人の自分にもわかりやすく教えて下さって、その経験があったからその後の作品も乗り切れてきたんだと思います。(監督はどう思って下さっているのかな…)

総作監修正について

「クロムクロ」だけではないですがアニメーションの制作工程では、LO作業 → LO演出作業 → LO作監作業 → LO総作監作業 → 原画作業 → 原画演出作業 → 原画作監作業 → 動画作業と、かなりの作画工程を踏んでおり、その中で総作監作業は最終的な絵の統一するセクションになります。余談ですが、当時は、この若草色(薄い黄緑色)が総作監の修正用紙としてアニメ業界で統一をされていると思っていたのですが実は業界で統一はされてないそうです。PAではこの色の修正が総作監修正なので、他作品でこういった素材を見る機会があれば各作品の総作監修正だと思ってみてほしいです。


ああこんな修正だったなあ・・いい絵だなあ・・。

さて、制作当時を振り返りながらレポートを書いて参りましたが、P.A.SALONのみなさんはどういうところを楽しまれましたでしょうか。
僕個人としては、納品まで制作進行の手元に必ずある「コンテ」は僕ら制作の相棒なので、次回のオンラインギャラリー開催の際はぜひ注目してご覧になってください。
監督がどういう絵作りや表現をしようと設計されているかが分かるので、じっくり読み込むと新しい見方ができるかと思います。
久しぶりに「クロムクロ」について話せましたが、芳名帳も拝見して「見直したい」「まだまだ推して参ります」との感想をいただきありがとうございました。Netflixでも配信中ですのでぜひまた観て下さい。

以上小西レポートでした。

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次回のP.A.SALON主催のオンラインギャラリーもご期待下さい!

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